日本大百科全書(ニッポニカ) 「Watson」の意味・わかりやすい解説
Watson
わとそん
IBM社の研究部門が、複数の資源言語処理グループを統合して2007年に開始したAI(人工知能)のグランドチャレンジ研究。ワトソンは、アメリカのクイズ番組『ジョパディ!』で人間のチャンピオンに勝つことを目標とした。クイズは、たとえば「この国はアメリカが外交関係をもたない国のなかでもっとも北にある」という問題文に対して、回答者は早押しのボタンを押し、「北朝鮮」と正しく答えなければならない。各問題に対しては異なる賞金が与えられ、賞金の合計で勝者を決める。2011年、IBMのPowerPCサーバー上で可動するWatsonシステムは、公開のTV番組で、2名の人間のチャンピオンと対戦し、優勝した。その後、IBMはWatsonを同社の提唱する「コグニティブ・コンピューティング」技術のブランドとして位置づけ、医療、法律、コールセンターなどさまざまなソリューションを提供した。なお、Watsonという人工知能(AI)が一つ存在しており、それがさまざまな領域の問題を解くのだ、と考えている人がいるが、それは誤解である。
[丸山 宏 2019年4月16日]