EGFR(読み)いーじーえふあーる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「EGFR」の意味・わかりやすい解説

EGFR
いーじーえふあーる

上皮成長因子受容体epidermal growth factor receptorの略称。正常組織においては多くの上皮細胞の細胞膜上にある受容体で、細胞の増殖や成長に関与する上皮成長因子(EGF)を認識する。そしてこれと結合して活性化し、細胞増殖を促進するように働くチロシンキナーゼ活性をもつ。細胞の増殖や分化だけでなく、臓器の発達や形成、維持に重要な働きをする。上皮増殖因子受容体、表皮成長因子受容体などともよばれる。

 EGFRに遺伝子変異が起きると、悪性腫瘍(しゅよう)発症の原因となる。大腸癌(がん)、腎癌、非小細胞肺癌、前立腺(せん)癌などさまざまな悪性腫瘍で過剰な発現がみられ、癌細胞の増殖や浸潤、また遠隔転移に大きくかかわっていることがわかってきた。したがって、このEGFRチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、癌細胞の増殖が抑えられるため、癌の治療薬としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の開発が盛んである。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

一粒万倍日

一粒の種子をまけば万倍になって実るという意味から,種まき,貸付け,仕入れ,投資などを行えば利益が多いとされる日。正月は丑(うし),午(うま)の日,2月は寅(とら),酉(とり)の日というように月によって...

一粒万倍日の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android