百科事典マイペディア 「腎癌」の意味・わかりやすい解説
腎癌【じんがん】
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腎臓の尿細管上皮細胞から発生する悪性腫瘍で,副腎腫hypernephroma,あるいはこれを記載したドイツの病理学者グラウィッツPaul Grawitz(1850-1930)にちなんでグラウィッツ腫瘍Grawitz's tumorなどと呼ばれたが,最近は腎癌と呼ばれている。高齢の男性に多く,血尿,側腹部腫瘤,疼痛が古くから本症の三大主徴とされている。腫瘍は握りこぶしくらいのものから子どもの頭くらいの大きさに及ぶものまであり,血管に富んだ腫瘍からの出血による血尿,腫瘍の圧迫による腰痛や側腹部痛が起こる。このほかにも発熱,体重減少,脱力,食欲減退,貧血などの全身症状がみられることが少なくない。肺,肝臓,骨などに転移を起こしやすく,咳(せき)や骨の痛み,あるいは骨折などで初めて発見されることもある。診断には尿路のCT検査,超音波検査や血管撮影が行われる。治療は早期に発見して手術的に腎臓を摘出するのが原則であるが,初期には自覚症状がないことが多い。手術療法とともにインターフェロンや抗癌剤の投与などを併用することが多いが,それでも完全治癒率は50%たらずで,一般に予後は不良である。しかし,最近は健康診断の超音波検査で無症状のうちに早期発見されることが多く,この場合の完全治癒率は90%以上である。
執筆者:上野 精
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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