FIFA汚職騒動(読み)ふぃふぁおしょくそうどう//ふぃーふぁおしょくそうどう//FIFAおしょくそうどう

知恵蔵 「FIFA汚職騒動」の解説

FIFA汚職騒動

2015年に次々に明らかになった、FIFA(国際サッカー連盟)幹部による汚職事件。米国司法当局が副会長を始めとした幹部9人を含む14人を起訴、スイス当局がFIFA会長選に集まった関係者ら7人を逮捕した。米当局の調べによれば、9人は中南米で行われるサッカーの国際大会の広告(スポンサー)権や放映権などの獲得に便宜を与える見返りに、スポーツマーケティング会社やスポーツメディアから1億5千万ドル以上の賄賂を受け取っていたという。これだけにとどまらず、ワールドカップの開催地決定などにまつわる贈収賄など数々の汚職について捜査が進められている。
この事件の発覚を受けて、FIFAの監査・コンプライアンス委員会は大幅なガバナンスの改革を行うとしているが、単なる疑惑や幹部個人の不行跡ではなく、積年の腐敗した体質であるとする批判も根強い。また、金銭の授受に関してマネーロンダリング疑惑も示唆されている。ワールドカップ招致に多額の金銭が飛び交っていることは、以前から指摘されており、11年5月には会長選に出馬した理事が「倫理規定に抵触した」として活動停止になったこともある。贈賄側には、この他、有名スポーツ用品メーカーなどの名も並ぶ。スポンサー企業は事態懸念を表明したり、「支援は続ける」としつつも関係打ち切りも含め検討したりといった、深刻な事態に至っていると伝えられている。

(金谷俊秀 ライター/2015年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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