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起訴 きそErhebung der Anklage

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

起訴
きそ
Erhebung der Anklage

刑事訴訟法上,検察官のなす公訴提起処分をいう。 (1) 特定の被疑事件につき,捜査の結果,検察官は起訴,不起訴の事件処理を行なうが (国家訴追主義) ,起訴は裁判所に対し審判を求める訴訟行為である。これによって被告事件に対する裁判所の訴訟係属が生じる。起訴は,起訴状という要式の書面によってなされなければならない。起訴という用語は,明治の刑事訴訟法 (明治 23年法律 96号) 上の用語で,現行刑事訴訟法上では,「公訴の提起」という用語に統一されているが,実務上の慣用語として,現在も用いられる。なお,民事訴訟法上では「訴 (うったえ) ノ提起」という。 (2) 起訴猶予 刑事手続において,犯罪の嫌疑が存在するにもかかわらず,犯人の性格,年齢,境遇,犯罪の軽重,情状,犯罪後の情状を考慮して,検察官が公訴を提起しないでおくこと。明治末期頃から慣行上行なわれていたものが,1922年の旧刑事訴訟法で法律上も採用され,現行刑事訴訟法にも受け継がれた制度で,日本独特の性格をもつ。微罪処分的なものから刑事政策的な配慮によるものまでさまざまであるが,現在,かなりの事件がこれで処理されている。しかし,この処分には確定力が存在しないから,のちに再び起訴されることもありうる。検察官の立法裁量を許し,起訴猶予を認める立法主義のことを起訴便宜主義という。

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知恵蔵の解説

起訴

特定の刑事事件の審判を裁判所に請求すること。起訴に当たって、検察官は、被告人の氏名、公訴事実及び罪名等を記載した起訴状を裁判所に提出しなければならない。正式の裁判手続きによる公判請求が原則であるが、検察官は、50万円以下の罰金または科料を科すのが相当と認められる軽い犯罪については、被疑者に異議がなければ簡易裁判所の略式手続きによる略式命令を請求することができる(略式起訴)。日本は起訴便宜主義をとっており、犯罪の嫌疑・証拠が十分であっても、検察官の裁量により、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」(刑事訴訟法248条)とされている。この場合の不起訴を起訴猶予という。

(土井真一 京都大学大学院教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディアの解説

起訴【きそ】

刑事訴訟上の公訴の提起をいうが,民事訴訟上の訴えの提起をさすこともある。捜査手続の最終段階で検察官は起訴か不起訴処分かを決めるが,その判断は検察官にまかされる(これを起訴便宜主義という)。
→関連項目起訴猶予検察審査会時効親告罪訴追被疑者被告人予審

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世界大百科事典 第2版の解説

きそ【起訴】

刑事事件の審判を裁判所に請求する意思表示。日本では,刑事訴追はすべて公訴であるから,起訴とは〈公訴の提起〉を意味する。どのような機関が刑事訴追の主体となるかは,国または時代により差異がある。私人訴追を伝統とするイギリスでは,刑事訴追は,おもに,法秩序維持に関心を有する一私人としての警察官をとおして行われる。一方,検察制度成立後のヨーロッパ大陸では,国家機関である検察官が刑事訴追を行う中心的存在となった(国家機関のみが刑事訴追を行うことを〈国家訴追主義〉という)。

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大辞林 第三版の解説

きそ【起訴】

( 名 ) スル
裁判所に訴えを起こすこと。特に、刑事訴訟法上、検察官が公訴を提起すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

起訴
きそ

刑事訴訟法で、検察官が具体的事件について公訴を提起すること。公訴の提起(起訴)は起訴状を提出してこれを行う(刑事訴訟法256条1項)。公訴の提起によって事件は受訴裁判所に係属し、裁判所は、この事件に関し検察官が起訴状に記載した公訴事実について審判すべき権利・義務を有し、検察官、被告人は審判にかかわる権利・義務を有することになる。事件が一定の裁判所に係属したときは、当該事件について重ねて公訴を提起することができない。重ねて起訴がなされた場合には、公訴は棄却される(同法338条3号)。これを、二重起訴禁止の原則という。起訴について公訴不可分の原則の適用があるのである。既判力も当該事件の全部に及び、同一事件についてふたたび審判をすることができない。公訴の提起によって公訴の時効はその進行を停止し、管轄違いまたは公訴棄却の裁判が確定したときからふたたびその進行を始める(同法254条)。
 なお、民事訴訟法で、訴えの提起を起訴とよぶことがある。[内田一郎・田口守一]

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世界大百科事典内の起訴の言及

【刑事政策】より

… 捜査された事件について,公訴を提起すべきか否かを決定するのは検察官である。公訴の提起(起訴)については検察官に裁量が認められており(これを起訴便宜主義という),現実にも訴追裁量は広く行使されている(《検察統計年報》によれば,1996年に検察庁で処理された刑法犯の事件について見ると,起訴率20.9%,起訴猶予率75.3%である)。その結果,起訴された事件の99.9%以上が有罪の判決を受けるという事態となっており,起訴されるか否かは実際上非常に大きな意味を持つに至っている。…

【公訴】より

…外国の法制では私人訴追の方式によるところもあるが,日本では刑事訴追はすべて公訴であり,国家機関の中でもとくに検察官がこれを行うものとされている(刑事訴訟法247条)。公訴を行う権限を公訴権といい,公訴権を現実に行使することを公訴の提起(起訴)という。有罪の証拠があり,訴訟条件が具備していても,訴追の必要性については,検察官に裁量権が認められている(248条)。…

【公判】より

…刑事訴訟において,起訴があってから裁判が確定するまでの裁判所における手続を,広義において公判という。そこには公開の法廷で行われる手続(公判手続。…

※「起訴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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