六訂版 家庭医学大全科 「X連鎖劣性遺伝病」の解説
X連鎖劣性遺伝病
エックスれんされっせいいでんびょう
X-linked recessive disease
(遺伝的要因による疾患)
X染色体に存在する遺伝子に関係するため、男子と女子で異なる発症率を示す特徴があります(図11)。また、父親のX染色体上の遺伝子は娘に伝えられますが、息子に伝わることはありません。一方、母親はX染色体を2本もっていますが、子どもが男児であろうと女児であろうと、どちらかのX染色体上の対立遺伝子を伝えることになります。
X染色体上の野生型対立遺伝子をXAとし、その変異型遺伝子をXaとすると、男性が変異遺伝子Xaを受け継ぎ、Xaの遺伝子型になった場合、Xa自身は劣性遺伝子であっても、X染色体が1本のヘミ接合のため、その影響を反映して発病することになります。そのため、X連鎖劣性遺伝病の患者はほとんど男性です。
女性の遺伝子型はXAXAが正常、XAXaは保因者になり、通常は発病しません。XaXaでは、劣性遺伝子のホモ接合であるため男性と同じように発病しますが、父親が遺伝子型XaYの患者である条件を満たす場合に限られるため、実際は極めて少ないといえます。ただ、女性の2本のX染色体のうち1本は機能を停止し、不活性化した状態にあることが原因になって、XAXaの女性でも軽症で発病することがまれにあります。
一般に、男性の患者さんの母親は保因者である可能性が高くなります。また、その父親や男兄弟に発病した人がいることがしばしばあります。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報