六訂版 家庭医学大全科 「遺伝子型と表現型」の解説
遺伝子型と表現型
いでんしがたとひょうげんがた
Genotype and phenotype
(遺伝的要因による疾患)
染色体
ヒトの細胞構造の中心にある核のなかには、46本の「染色体」が含まれています。染色体は、1番から22番までの番号がついている「
1番から22番まである常染色体は男女に差がなく、それぞれ同じ番号のついた染色体が2本ずつ対をなし、合計44本あります。
性差を決定しているのは性染色体です。女性はX染色体を2本もっていますが、男性はX染色体とY染色体をそれぞれ1本ずつもち、男女で構成が違っています。
ヒトの
遺伝子型と表現型
相同染色体を細かく解きほぐしてみると、細い二重のDNA
対立遺伝子はほとんど同じでよく似ていますが、必ずしも同じではないところがあることもわかってきました。すなわち、DNAの塩基であるA(アデニン)・G(グアニン)・T(チミン)・C(シトシン)の並び(配列)が違うものがあるということです。
集団のなかで最も多く存在している配列の対立遺伝子を「
対をなす対立遺伝子の組み合わせを「遺伝子型」といいます。遺伝子型の変化の違いにより、個体がもつ形態や機能の特徴を「形質」と呼び、遺伝子型に対応する個々の観察できる形質タイプを「表現型」といいます。
医学分野では、ある病気にかかる、かからないといった違いが遺伝子型の違いと対応するならば、それは表現型のひとつということになります。表現型を決める遺伝情報は、突きつめると遺伝子型に行き着くことになります。
対立遺伝子の変化のなかには遺伝子のはたらきが明らかに変わり、発病に強く関係する遺伝子変異があります。一方、変異アレルのなかには明らかな表現型の違いを示さないこともあり、この場合は「遺伝子
ホモ接合とヘテロ接合
ヒトは相同染色体を2つもち、遺伝子が存在する場所(遺伝子
ある遺伝子座において対立遺伝子が同一である場合を「ホモ接合」といい、異なる対立遺伝子の組み合わせは「ヘテロ接合」と呼びます。また、男性の場合X染色体やY染色体に存在する遺伝子は対をなすことができないため、「ヘミ接合」と呼ばれています。
田村 和朗
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報