Z
ぜっと
英語アルファベットの第26字で、最終文字にあたる。イギリスではゼッド、アメリカではズィーと発音される。武器あるいは天秤(てんびん)を表すセム文字zayinを起源とし、ギリシア文字のゼータ(Z)を経由し、エトルリア文字に受け継がれた。ラテン語においては、紀元前1世紀のギリシア征服後、ギリシア語からの借用語のZ音を転写するために、Yとともにアルファベットの最後に加えられた。数学ではx、yに次ぐ第三の未知数を表し、中世ローマ数字では2000を表す。国際信号旗のZ旗は、緊急の事態に処するための大いなる努力の要求を意味し、日露戦争時のいわゆる日本海海戦で、バルチック艦隊を迎え撃つ際に、司令長官の東郷元帥がこのZ旗を掲げて士気を鼓舞した話は名高い。アルファベットの最終字であることからfrom A to Zは、「初めから終わりまで」「すっかり」の意味である。
[斎藤公一]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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Z〔映画〕
1969年製作のフランス・アルジェリア合作映画。原題《Z》。ギリシャで実際に起きた左翼政治家暗殺事件を扱った社会派スリラー映画。監督:コスタ=ガブラス、出演:イブ・モンタン、イレーネ・パパス、ジャン=ルイ・トランティニャン、ジャック・ペランほか。第42回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同編集賞、外国語映画賞受賞。
出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内のZの言及
【ギリシア映画】より
…一方,[マッカーシイズム]でアメリカを追われたダッシンJules Dassinが,ギリシアにきてメリナ・メルクーリの主演で撮った一連の映画,《宿命》(1956),《日曜はダメよ》(1960),《死んでもいい》(1962)などがギリシア映画と呼べるか否かは微妙である。コスタ・ガブラスCosta‐Gavras監督にも似たような問題があり,このフランスで育ったギリシア人の傑作《Z》(1968)は,現実にギリシアで起こった政治家暗殺事件についてのギリシアの作家バシリコスVasílis Vasilikósの小説を原作としているが,舞台は架空の国である。 むしろ63年に発表されたコンドゥロスNíkos Kondoúros監督の《春のめざめ》のような作品のほうが白黒の画面に古代ギリシア風の抒情を再現して,この国固有の映画美を感じさせた。…
※「Z」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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