本田技研工業(読み)ほんだぎけんこうぎょう(英語表記)Honda

改訂新版 世界大百科事典 「本田技研工業」の意味・わかりやすい解説

本田技研工業[株] (ほんだぎけんこうぎょう)

二輪車のトップ・メーカーで,四輪車の生産でも有数の会社。2001年より通称ホンダ。1946年に本田宗一郎(1906-91)が浜松で個人創業した,内燃機関,車両の研究,製造を目的とする本田技術研究所前身である。通称〈バタバタ〉という,自転車に旧軍隊の小型エンジンをつけたものを発売,大好評を博した。48年,本田技研工業(株)を設立二輪車の製造を始め,10月には最初のホンダモーターA型を発売,その後ドリーム号E型(1951),ベンリイ号(1953)と新製品をつぎつぎに発売した。53年本社を東京・中央区に移転(1985年に港区に移転),59年には二輪車のグランプリ・レースのイギリスマン島TTレースに参加し,61年には3部門(125,250,350㏄の各クラス)を制覇した。その間1958年に,それまでの二輪車のイメージを変えるスーパーカブ号を発売,63年には軽トラックと小型スポーツカーを発売して四輪車部門に進出した。65年ころから四輪車のF-1レースに挑戦,65年10月にはメキシコGPで優勝した。その後,ホンダN360(1967),ホンダシビック(1972),ホンダシティ(1981)などユニークな車をつぎつぎに発表した。また1972年には排ガス規制に対応したCVCCエンジン開発,公表したが,これはアメリカのいわゆるマスキー法による75年排ガス規制に合格した世界最初のエンジンである。また海外事業にも力を入れ,82年11月にアメリカ,オハイオ州の四輪車工場操業を開始した。これは日本の自動車メーカーとして初めての本格的な工場である。その他イギリスのBL社による本田車のライセンス生産などがある。二輪車の生産台数は世界首位である。売上構成は四輪車81%,二輪車12%,その他7%となっている(2005年3月期)。資本金861億円(2005年9月),売上高は8兆6501億円(2005年3月期)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本田技研工業」の意味・わかりやすい解説

本田技研工業
ほんだぎけんこうぎょう
Honda

自動車,オートバイのメーカー。二輪では世界トップ。本田宗一郎が 1946年に静岡県浜松市に開設した本田技術研究所を母体として 1948年に設立。1947年の自転車用補助エンジンを皮切りにオートバイの生産を開始。1949年には本格オートバイ「ドリーム」を開発,オートバイブームを興して急成長した。特に 1958年発売の「スーパーカブ」は,生産台数 1億台以上というロングセラー商品となっている。1960年,研究開発部門として本田技術研究所が独立。1963年からは自動車の生産も始め,「シビック」「アコード」などを販売。1959年にアメリカ合衆国に初の現地法人を設立して以降,世界各地に支社をもつ。アメリカでは 1982年に日本のメーカーとして初めて自動車の現地生産を開始した。カナダ,メキシコ,ブラジル,アルゼンチン,タイをはじめとして海外での現地生産も活発。オートバイ,自動車を中心に,耕耘機,汎用エンジン,小型発電機など事業は多岐にわたる。1964年,F1に初参戦。2000年,二足歩行ロボット ASIMOを発表した。本社所在地は東京都港区。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「本田技研工業」の解説

本田技研工業
ほんだぎけんこうぎょう

二輪車生産台数世界一,四輪車でも日本有数のメーカー。本田宗一郎によって1946年(昭和21)静岡県浜松市に本田技術研究所が創立され,48年本田技研工業に発展,日本のモーターバイクの65%を生産した。61年二輪車は世界10大レースで優勝,世界一の地位を不動のものにした。62年四輪自動車の生産に参入,翌年軽トラックを発売した。71年低公害化エンジンCVCCの開発を発表。四輪でも高い評価を獲得した。さらに86年からはロボットや航空機の開発を進めている。

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世界大百科事典(旧版)内の本田技研工業の言及

【オートバイ】より

…このころから,日本製オートバイがヨーロッパの国際レースで優勝するようになり,性能のよさが世界に認められるようになった。日本のメーカーは,72年以降,シェア順に本田技研工業,ヤマハ発動機(ヤマハの直系子会社),スズキ,川崎重工業の4社であるが,本田,ヤマハ,スズキの大手3社で90%余のシェアをもつ。また世界のオートバイ生産の過半を占め,2位,3位のイタリア,台湾を大きく引き離している。…

※「本田技研工業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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