曽我遺跡(読み)そがいせき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「曽我遺跡」の意味・わかりやすい解説

曽我遺跡
そがいせき

奈良県橿原市曽我町真管,曽我川東岸に所在する古墳時代の玉作遺跡。バイパス工事に伴い,橿原考古学研究所が 1982~83年に調査を行なった。中央に沼を挟んだ南北 330mの範囲から多数の遺構を検出,玉類の成品・未成品・原石砥石 (といし) ,木製舞錐等 1000万点近い遺物が出土した。玉類には勾玉 (まがたま) ・管玉・小玉・丸玉・棗玉 (なつめだま) ・切子玉・子持勾玉があるほか,各種滑石製模造品が見られた。石材は和歌山紀ノ川流域の滑石,山陰の碧玉,北陸の緑色凝灰岩が 95%を占め,岩手県久慈の琥珀 (こはく) ,新潟糸魚川の翡翠 (ひすい) ,水晶,瑪瑙 (めのう) ,埋木,ガラス等各地よりさまざまなものが搬入されている。これは本来の原石産地での玉作が,5世紀末~6世紀初頭ころ権力所在地に近い当地に移動・集中したことを示しており,付近の地名等より祭祀担当氏族の忌部氏の関与が推定されている。

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