翡翠(読み)ヒスイ

デジタル大辞泉 「翡翠」の意味・読み・例文・類語

ひ‐すい【××翠】

カワセミの別名。雄が翡、雌が翠。
カワセミの羽の色。美しく光沢のある髪の色などにたとえる。翡翠色
つやのある緑色の硬玉。また、硬玉軟玉の総称。主に翡翠輝石からなり、美しさをカワセミの背にたとえた名。主産地ミャンマー・中国などで、日本では新潟県糸魚川市の小滝川付近から産出。古来、装飾品に用いられる。平成28年(2016)、日本鉱物科学会により国石こくせき(国を代表する石)に指定された。ジェード
[類語]宝石たまぎょく宝玉勾玉原石金剛石ダイヤモンド玻璃石英水晶クリスタルクオーツ紫水晶アメシスト瑪瑙猫目石キャッツアイエメラルド翠玉緑玉石トパーズ黄玉オパール蛋白石トルコ石ターコイズガーネット柘榴石瑠璃鋼玉ルビーサファイア碧玉琥珀真珠パール

かわ‐せみ〔かは‐〕【翡翠/川×蝉】

ブッポウソウ目カワセミ科の鳥。全長17センチくらい。頭から背にかけて光沢のある青緑色、腹は栗色。くちばしは大きく、黒色で、雌は下くちばしが赤。水に飛び込んで魚を捕って食べる。ユーラシアに分布。日本では水辺にみられ、留鳥翡翠ひすいしょうびん。そにどり。 夏》「―や露の青空映りそむ/波郷
カワセミ科の鳥の総称。ヤマセミアカショウビンワライカワセミなど、世界に約90種が分布。

しょう‐びん【翡翠】

カワセミ科の鳥のこと。特に、カワセミの別名。 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「翡翠」の意味・読み・例文・類語

ひ‐すい【翡翠】

〘名〙
① =かわせみ(翡翠)《季・夏》
※空華集(1359‐68頃)一「琅玕半隠烟際、翡翠双眠水頭
※仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)四「爰に翅の青き鳥あり。かたち翡翠(ヒスイ)のごとし」
② カワセミの羽。また、それを用いて作ったもの。あるいは、つややかで美しいものをカワセミの羽にたとえていう。
経国集(827)序「翡翠開匣、不劣於六書」 〔賈山‐至言〕
③ 特に、頭髪が美しくつややかなこと。また、そのような頭髪をいう。
※夜の寝覚(1045‐68頃)五「御髪はゆらゆらと、ひすいとはこれをいふにやと見えて」
④ 鳥の尾の傍に生えた長い羽。〔十巻本和名抄(934頃)〕
⑤ 宝石の一種。緑色、半透明でガラス光沢のある硬玉。装飾用。アマゾン石。
※見果てぬ夢(1910)〈永井荷風〉三「あの柔い緑の色の翡翠(ヒスヰ)の珠」
⑥ 青々としていて、美しくつややかなものを宝石の色にたとえていう。
珊瑚集(1913)〈永井荷風訳〉奢侈「GANGES 河の畔なる翡翠の宮殿」

かわ‐せみ かは‥【翡翠】

〘名〙
① カワセミ科の鳥。全長約一七センチメートルで、スズメよりやや大きい。雌雄ともに頭部暗緑色背面空色で腹面は橙色。くちばしは太く、長さは約四センチメートル。尾は短く、あしは赤い。水辺にすみ、川魚、カエル昆虫などを食べ、土手やがけに横穴を掘って営巣する。日本全土にみられる留鳥。ひすい。かわせび。しょうびん。そにどり。そに。《季・夏》 〔天正本節用集(1590)〕
② カワセミ科の鳥の総称。世界に約九〇種あり、日本にはヤマセミ、アカショウビンなどがいる。

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普及版 字通 「翡翠」の読み・字形・画数・意味

【翡翠】ひすい

かわせみ。婦人の艶容にたとえる。楚・宋玉〔神女の賦〕夫(そ)れ何ぞ女の麗(かうれい)なる、陰陽の渥(あくしよく)を含み、(くわさう)の好(よみ)すべきを被り、翡を奮ふが(ごと)し。

字通「翡」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「翡翠」の意味・わかりやすい解説

翡翠
ひすい
jade; jadeite; nephrite

透明ないし不透明の,主として緑色の光沢を有する硬玉および軟玉。一般に宝石として扱われているものは,軟玉ではなく硬玉のほうであり,その主産地はミャンマー。日本では新潟県糸魚川市で産出されることが知られている。緑色の発色は結晶体中に含有されている微量のクロムによる。色調は白緑色から紫色まであるが,大部分は緑色。翡翠は特に東洋で珍重され,その多くは中国のコワントン (広東) やシャンハイ (上海) で彫刻されている。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「翡翠」の解説

翡翠 (カワセミ)

学名:Alcedo atthis
動物。カワセミ科の鳥

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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