紅色細菌(読み)こうしょくさいきん(英語表記)purple bacteria

精選版 日本国語大辞典 「紅色細菌」の意味・読み・例文・類語

こうしょく‐さいきん【紅色細菌】

〘名〙 光合成細菌一群。赤または褐色で、形や大きさはいろいろある。湿った地表にふつうにみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紅色細菌」の意味・わかりやすい解説

紅色細菌
こうしょくさいきん
purple bacteria

狭義には光合成細菌であるロドスピリルム目に属するロドスピリルム科とクロマチウム科の細菌をいう。広義にはクロロビウム科(緑色細菌)を含む場合もある。ロドスピリルム科は紅色非硫黄(いおう)細菌であり、クロマチウム科は紅色硫黄細菌である。一般に紅色細菌は光合成独立栄養生物であり、光条件下で、嫌気的に二酸化炭素をおもな炭素源とし、還元型の無機化合物を電子供与体として生育する。一部の紅色細菌は光合成従属栄養生物として、光条件下で、嫌気的に有機化合物を同化する生活もまた可能である。

 紅色硫黄細菌は、おもに硫化水素を電子供与体とする光合成独立栄養菌で、偏性(絶対的)嫌気性細菌である。紅色非硫黄細菌は、光合成従属栄養菌であり、ときには光条件下で、低濃度の硫化物を酸化することがある反面、同じ硫化物で生育を阻害されることもあるが、好気的に生育する。紅色硫黄細菌の生育場所は硫化物の富んだ所であり、紅色非硫黄細菌は通常、淡水湖沼に生息する。

 紅色細菌は嫌気的条件下で空中窒素を固定するが、好気的条件下では行わない。なお、狭義の紅色細菌はバクテリオクロロフィルaとbをもち、緑色細菌はバクテリオクロロフィルcとdをもつ。

[曽根田正己]

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