細胞接着分子(読み)さいぼうせっちゃくぶんし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「細胞接着分子」の意味・わかりやすい解説

細胞接着分子
さいぼうせっちゃくぶんし

細胞の表面にあって、細胞どうしあるいは細胞と細胞外マトリックス(基質)の接触による接着にかかわる分子総称CAM (cell adhesion molecule)と略称され、細胞間接着分子(ICAM:intercellular adhesion molecule)、あるいは単に接着分子もしくは接着因子、その実体(膜タンパク質)を表すものとして接着タンパク質などともよばれる。細胞は相手の細胞を仲間として認識結合しあって組織となり、ついで器官臓器がつくられ、やがて多細胞生物の個体が形成され維持される。細胞接着分子はこうした結合を成立させるための接着および細胞間の相互作用に関与し、細胞の組織への分化や個体形成および維持、ならびに再生などにかかわっている。また、接着することによって外部情報をとらえて細胞に伝える役割も果たし、免疫応答炎症反応や癌(がん)の転移あるいはウイルス感染などにも関与している。

 細胞接着分子の代表的なものに、上皮細胞間の接着にかかわるカドヘリンスーパーファミリー、細胞間の認識および免疫応答と、癌の転移やウイルス感染などにかかわる免疫グロブリンスーパーファミリー、細胞と基質の接着にかかわるインテグリンスーパーファミリー、炎症をおこしたとき白血球の組織分配にかかわるセレクチンスーパーファミリーなどがある。

[編集部 2016年11月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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