はな‐すすき【花薄】
(「はなずすき」とも)
[1] 穂の出た薄。風になびくさまを、
何者かを招く様子に見立てることが多く、また、
序詞の終わりに置いて、「ほに
出づ」を引き出すのに使われることもある。
尾花。《季・秋》
※
万葉(8C後)八・一六〇一「めづらしき君が家なる波奈須為寸
(ハナスすキ)穂に出づる秋の過ぐらく惜しも」
[2] 枕
① 「穂に出づ」と同音の、表面に現われる意の「ほに出づ」にかかる。
※
古今(905‐914)
仮名序「色好みの家に、むもれ木の、人知れぬこととなりて、まめなる所には、花すすきほに出だすべき事にもあらずなりにたり」
② 「穂」と同音の「ほ」を含む「ほのか」にかかる。
※
拾遺(1005‐07頃か)恋二・七三二「よそにても有りにし物を花すすきほのかに見てぞ人は恋しき〈よみ人しらず〉」
[
補注](一)の万葉例の「奈」は「太」の誤りとする説や、「はたすすき」「
はだすすき」の変化したものとする説もある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「花薄」の意味・読み・例文・類語
はな‐すすき【花▽薄】
[名]
1 穂の出た薄。尾花。《季 秋》「―風のもつれは風が解く/蓼汀」
2 襲の色目の名。表は白、裏は薄縹。
[枕]薄の穂の意から、「穂に出づ」「ほのか」にかかる。
「―ほにいだすべき事にもあらずなりにたり」〈古今・仮名序〉
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報