豚・豕(読み)ぶた

精選版 日本国語大辞典 「豚・豕」の意味・読み・例文・類語

ぶた【豚・豕】

〘名〙
イノシシ科の哺乳類。イノシシを飼いならした家畜。約九〇〇〇年前に人類の定住農耕の開始とともに、ヨーロッパとアジアでそれぞれ家畜化されたと考えられている。体はよく肥え、鼻と耳が大きく、尾は細くて小さい。あしは体の割に短く、動作はのろい。雑食性で、粗食に耐える。ヨークシャーバークシャーなど多くの品種があり、食肉用として世界各地で飼育。肉は生肉・ハム・ベーコンなどに、脂肪はラードに、皮は皮革ゼラチンなどに利用される。いのこ。家猪。とん。〔文明本節用集(室町中)〕
② ①の肉。豚肉。
※蔗軒日録‐文明一八年(1846)四月二六日「鄞江、浙江、猪肉之内、重其頭、日本人ぶたと云也」
③ 「いのしし(猪)」をいう。
※いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉二「『〈略〉タンはタンでもブタ(イノシシ)のタンだ』〈略〉これはリュウコの連中にはおなじみの花札のことで」
④ ふとっている人、醜い女などをあざけっていう語。
※雑俳・たから船(1703)「あの人は後(うしろ)で美人前でぶた」

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