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ブタ ブタ Sus scrofa domestica; pig

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ブタ
ブタ
Sus scrofa domestica; pig

偶蹄目イノシシ科。イノシシを家畜化したもので,前 4000年頃にはメソポタミアですでに家畜化されていたと考えられている。おもに肉用として改良が行われ,ヨークシャーバークシャー,ランドレースなど,世界で 300種類以上 (地方的な変種も含む) がつくりだされている。

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栄養・生化学辞典の解説

ブタ

 [Sus scrofa].哺乳綱ウシ目イノシシ亜目(猪豚類)イノシシ属の動物.家畜化されて有用な肉の給源.

出典|朝倉書店
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ブタ
ぶた / 豚
pigswinehog
[学]Sus scrofa var. domesticus

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目イノシシ科に属する動物。同科イノシシ属に含まれるヨーロッパイノシシやアジアイノシシを馴化(じゅんか)して成立した肉用の家畜である。ブタの英名は前記のほか、とくに雄ブタをいう場合にはboar、雌ブタにはsowが用いられる。ヨーロッパイノシシとアジアイノシシは、体格、毛色、涙骨の形などが明らかに異なるので別種とされているが、両者間には正常な繁殖力をもつ雑種が生まれるので、同一種内の亜種と分類する学者もある。ヨーロッパ、西アジア、中国など別々の土地でそれぞれの土地のイノシシから家畜化されたが、現在飼育されている改良種の多くのものはこれらが交雑されてつくられたものである。家畜化の時代は中国南部で紀元前8000年、西アジアで前6000年ごろと考えられる。[正田陽一]

特徴

ブタは祖先種のイノシシと違って、人間の庇護(ひご)の下で生活しており、そのため自己防衛力は低下して形態は変化しているところが多い。自ら餌(えさ)を探す必要がないため、吻(ふん)は著しく短縮して上方へしゃくれ、犬歯も小さくなっている。耳は垂れ下がっているものが多く、尾も短くて巻いている。イノシシの子には生後しばらくの間、瓜坊(うりぼう)とよばれるように縦縞(たてじま)があり保護色の役目を果たしているが、改良されたブタの子にはみられない。毛色も白、黒、赤褐色などさまざまで、斑紋(はんもん)のあるもの、有色で白いベルトを肩の部分にもつものなど、変異が多い。産肉性の改良が進んだため、腸管の長さはイノシシの17メートルからブタの26メートルへと長くなり、胴が伸びて、肋骨(ろっこつ)の数がイノシシの14対からブタの16対へと増え、前躯(ぜんく)に比べ、肉のつく後躯の発達が著しい。
 また繁殖力も強くなり、野生のイノシシが春にだけ子を産む季節繁殖動物であるのに対し、ブタは一年中いつでも繁殖可能な周年繁殖動物である。性成熟に達する月齢も早く、産子数もイノシシの1腹平均約5頭に比べて約10頭と多く、乳頭の数も7対以上ある。
 一方、嗅覚(きゅうかく)の鋭敏な点や、食性が広くなんでも好食する点などイノシシに似た点も多い。[正田陽一]

品種

ブタの品種は主要なものだけでも300種を超える。これらの品種は、普通その生産されたものの型質によって、加工用型(ベーコンタイプ)、生肉用型(ポークタイプ)、脂肪用型(ラードタイプ)の3型に分けられる。しかし、この3型も連続的なもので、中間の型もあり、また時代によって改良の目標が変化して別のタイプに移った品種もある。
〔1〕加工用型 ベーコン、ハムなどの加工品の原料に適した品種で、体の伸びがよく、わき腹(ベーコン)が長くて、臀(しり)(ハム)が充実している。肉は赤肉が多くて脂肪が薄い。代表的な品種にランドレース、大ヨークシャー、ウェルシュ、ブリティッシュサドルバック、ドイツ改良種、ラカム、ミネソタ1号などがある。
〔2〕脂肪用型 脂肪の蓄積が盛んで、早くよく太る品種である。最近では高タンパク低カロリーの食品が喜ばれるため、ラードの需要が激減し、品種も少なくなっている。中国のブタはほとんどこの型であり、ハンガリーのマンガリッツァ、スペインのエストラマドラもこの型に属する。
〔3〕生肉用型 前の二つの型の中間のもので、体の幅と深さがあり、体積が豊かで肉量も多い。デュロック、ポーランドチャイナなどは昔は脂肪用型であったが、現在は生肉用型であり、ほかに中ヨークシャー、バークシャー、ハンプシャー、ミルゴロドなどが代表的なものである。
 以上のうち、日本で飼われているおもな品種は次のとおりである。
(1)ランドレースLandrace デンマークの在来種を大ヨークシャーで改良した白色のブタ。頭が小さく、耳は前方へ垂れ、胴が長くてももが充実している。脂肪が薄く、赤肉率が高い。発育が速く、生後6か月でと畜体重(90~100キログラム)に達し、成熟すると300~350キログラムになる。
(2)大ヨークシャーLarge White イギリス原産の白色大形のブタ。顔が長く、耳は大きくて直立している。体重300~350キログラム。成熟は遅いが、発育は速い。
(3)中ヨークシャーMiddle Yorkshire 大ヨークシャーと、脂肪用型の小ヨークシャーをかけ合わせて成立した白色種。顔はしゃくれ、耳は立ち、胴は楕円(だえん)形で四肢は短い。中形で成体重200~250キログラム。飼いやすいブタで、1955年(昭和30)ごろまでは日本のブタの90%を占めていたが、発育の速い大形種に置き換えられて数が減った。
(4)バークシャーBerkshire イギリス原産。皮膚、被毛は黒色で、鼻端、四肢端、尾端に白い部分がある。体型は中ヨークシャーに似るが、顔のしゃくれが少ない。粗繊維の消化力が優れているが、やや脂肪がつきやすい。肉質は佳良で肉色もよい。九州南部に多く飼われている。
(5)デュロックDuroc アメリカ合衆国東部原産の赤色種。耳は立っているが、中ほどから前へ折れている。成体重250~300キログラム。性質温順、体質強健で、飼いやすい品種である。
(6)ハンプシャーHampshire アメリカの五大湖南部が原産地。皮膚、被毛は黒色で、肩から前肢へかけて帯状の白斑(はくはん)がある。体質強健で、性質は活発。探食性が強いので放牧に適している。成体重250~300キログラム。肉質はたいへん優れており、三元交雑の第三の品種としてよく用いられている。[正田陽一]

育種と繁殖

繁殖に用いる種豚(しゅとん)は、血統の確実な、体型の優れた、能力の高い個体でなければならない。日本では種豚登録協会が純粋種の血統を明確にするために前記6品種について子豚(しとん)登記と種豚登録を行っている。体型の優れたものを選ぶためには、それぞれ品種ごとに審査標準が設けられ外貌(がいぼう)審査が実施される。共進会が随時開かれ優秀な個体が選賞される。能力については産肉能力検定と産子検定が行われ、その成績が選抜の基準となる。最近では、生産された子豚の発育、と畜後の肉の成績を調べて親の育種的価値を評価する後代検定が組織的に実施され、改良に大きく貢献している。
 繁殖に供用する年齢は、普通生後10か月(体重120キログラム以上)から5~6歳で、雌はこの間21日間隔で発情を繰り返す。発情期は約3日続き、雌は雄の交尾を許容するので、自然交配または人工授精で受胎させる。妊娠期間115日前後で分娩(ぶんべん)する。産子数は通常8~11頭。中国種には20頭前後を産む品種もある。出生時の体重は約1キログラム。哺乳期間は7~8週であるが、繁殖効率を高めるための早期離乳を行う養豚家が多い。離乳体重は9~12キログラムである。離乳すると親ブタは7~10日で発情が再帰するから、年に2~2.5回の出産が可能である。[正田陽一]

飼養・管理

哺乳期の初期には冬季なら保温が必要である。子ブタの吸い付く乳頭は生後3日目ごろには定まって、以後はかならず自分専用の乳頭に吸い付き、哺乳時の混乱はみられなくなる。早期離乳を行った子ブタには代用乳を与える。また離乳時の子ブタにはかならず豚(とん)コレラの予防注射を行うことが必要である。
 ブタの発育は速く、イノシシでは体重が90キログラムに達するのは生後400日以後であるのに対し、ブタでは180日である。それだけに飼料の給与が適切でないと、種々の故障が生ずる。飼料を微細な粉末の形で給与すると、消化、吸収が容易で、飼料効率は高くなるが、胃に潰瘍(かいよう)などの病変を生じやすい。これは、雑食性のブタの胃はある程度の繊維を必要とするからである。飼料は主として穀物、糠(ぬか)(ふすま)類、いも、食品製造かす、牧草などである。幼時はタンパク質、ビタミンの多いものを与え、成長するにつれて炭水化物の多いものを与える。給与量、配合率などは飼養標準によるか、市販の配合飼料を用いるとよい。肉用のブタは、雄は生後3週齢で去勢し、肥育後6~7か月で出荷する。
 ブタは不潔な動物のようにいわれているが、意外にきちょうめんで、排出の場所は低い所、湿った所に固定する性質があるから、豚舎の設計を考慮して清掃管理労力を節約し、ブタの体の清潔を保つことが肝要である。また管理者によくならしておくことが、交配、分娩など人との接触の多い繁殖豚の場合、とくに必要である。
 ブタの病気は多く、伝染病では豚コレラ、豚丹毒、流行性脳炎などの家畜法定伝染病のほか、伝染性肺炎、萎縮(いしゅく)性鼻炎などがある。また近年ではウイルス性の伝染病であるオーエスキー病の被害も大きい。このほか一般的な疾病には下痢症、胃潰瘍、皮膚病、日射病などがあり、予防と早期発見が肝要である。[正田陽一]

利用

肥育してと畜される肉豚としては、交雑種がおもに利用される。これは一代雑種や三元交雑種には雑種強勢(ヘテローシス)が現れて、純粋種よりも発育が速く、じょうぶで病気にかかりにくく、産子数も多くなるからである。
 ブタの場合、成体重に対する肉部分の百分率、すなわち枝肉歩留りは65~70%である。豚肉は淡紅色または灰紅色を呈し、軟らかく、脂肪が多い。ビタミンB1の含量が非常に高く、牛肉の15倍もある。生肉を料理に用いるほか、ベーコン、ロースハム、ボンレスハム、骨付きハムをつくったり、ほかの畜肉と混ぜて各種ソーセージ、プレスハムなどの加工品とする。ベーコンはあばら肉を塩漬けしてから薫煙したもので、ハムは肉塊を塩漬け後、薫煙または加熱して仕上げる。ソーセージは種類が非常に多いが、長期保蔵を目的としたドライソーセージ(サラミソーセージなど)と、製造後まもなく調理供食されるドメスチックソーセージ(ウィンナソーセージ、フランクフルトソーセージなど)に大別される。いずれも細切りした豚肉に調味料、香辛料を加えてチョッパーにかけ、これを動物の腸管でつくったケーシング(最近では人工ケーシングもある)に詰めて水煮、薫煙したものである。肉のほか脂肪、内臓も食用に供される。豚脂はラードlardとよばれ、色は白色で、融点は牛脂、羊脂に比べて低く、柔らかい。食用以外にも薬用、化粧品用、せっけんや硬化油などの工業原料に用いられる。皮革はなめすと毛根の穴が残り、強度に欠けるが、細工物、袋物に用いられる。豚毛はブラシや、椅子(いす)やクッションなどの詰め物材料となる。
 ブタの利用法として最近重要視されてきたのが、実験動物としての利用である。ブタは生体機構上、人間とよく似た点が多い。心臓や肝臓が類似しているので、これらの臓器の外科手術の技術を開発する実験に適しており、また皮膚が裸出しているため化粧品のテストにも好適である。実験動物として、体の小さいミニブタもいくつかの品種が作出されている。[正田陽一]

世界の養豚

全世界のブタは、1997年現在、9億3597万頭が広く各地域に飼われているが、とくに飼養の盛んな所は、ヨーロッパではデンマーク、北部ドイツを中心とした地域、アメリカの五大湖の南に広がるコーンベルト地帯、それに中国で、これを世界の三大養豚地帯という。ヨーロッパではランドレース、大ヨークシャーを中心とした加工用型の品種が、アメリカではデュロック、ハンプシャーなどの生肉用型の品種が、中国には東北民猪、梅山猪、大花白猪など脂肪用型の品種が多く飼われている。
 日本では奈良時代に、猪養部(いかいべ)という役職の名が記録に残っており養猪の行われていたことが推察されるが、肉食禁止とともに廃れた。江戸時代の末には鹿児島、長崎では養豚が行われるようになったが、本格的に全国で飼われるようになったのは明治時代中期以降である。その数も、1887年(明治20)にはわずか4万頭にすぎなかったものが徐々に増加し、ことに第一次世界大戦後に急速に発展して1938年(昭和13)には114万頭にまで達した。しかし第二次世界大戦から戦後にかけて飼料事情の悪化のために激減し、46年(昭和21)には8万8000頭になった。55年ごろから戦後の食生活の変化は豚肉の需要を増し、飼料事情の好転したこのころからは順調に発展し、97年(平成9)には981万頭にまで達している。飼養品種も戦前までは中ヨークシャーのみであったのが、近年はランドレースをはじめ、たくさんの品種が導入され、雑種強勢を利用した近代的な企業養豚が盛んに行われている。[正田陽一]

ブタと人間生活

『古事記』や『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』に猪養の記録がみられるが、日本ではもともとブタの飼育は盛んでなく、そのうえ仏教の肉食禁止の思想も加わったため、明治時代に至るまでほとんど飼育されなかった。しかし奄美(あまみ)、沖縄は例外で、正月や葬式、先祖祭などの機会にブタが食された。奄美諸島では、12月の29日か30日に各戸で飼っているブタを正月用に殺し、大みそかの晩には「年とり骨」とよばれる厚い肉のついたその豚骨と餅(もち)がふるまわれた。また、中国では早くからブタの飼育が盛んで、半坡(はんぱ)の遺跡(新石器時代)などからは多数の骨が出土しているが、今日でもなおもっとも価値の高い肉とされている。他方イスラム教徒のように、ブタを不浄視してその肉を食さない文化もあるが、ニューギニア島やメラネシアでは、ブタは人々の生活のなかでもっとも大きな部分を占めている。単に富や交易の対象として経済的価値をもつばかりでなく、社会、儀礼生活上でも主要な役割を果たしている。たとえばニューギニア高地人には、ブタをいかなるものをもってしてもかえがたい貴重なものとみなす人々がいる。したがって信頼される女性がその飼育にあたり、ブタに誇りをもつとともに、名前を与え、同じ小屋の下に寝て子供のようにかわいがる。また彼らは一度に数百頭、ときには数千頭のブタを殺し、大祭宴を催す。このようなブタをめぐる文化の根底には、ブタの雑食性でしかも動物性タンパク質や脂肪の豊富な供給源としての貴重な経済的価値が存在する。[田村克己]

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