歌舞伎用語。(1)俳優を後援する観劇団体。見連(けんれん),組,組見(くみけん)ともいう。上方では古くから手打連中というものがあり,顔見世のときには一座の俳優に進物を贈り,茶屋の軒には連中の印のある箱提灯をかけ,揃いの頭巾をかぶって奇妙な手を打った。なかでも享保から安永にかけて(18世紀),次々とできた大坂の〈笹瀬〉〈大手〉〈藤石〉〈花王(さくら)〉のいわゆる四連中が有名である。京都の〈笹木〉,名古屋の〈真蘇木(まそぎ)〉〈花岡〉〈大笹〉の三連中などはいずれも大坂の手打連の模倣であった。江戸でも盛んで,中村芝翫の〈イ菱連〉,4世坂東三津五郎の〈勝見連〉,渋江抽斎(ちゆうさい)らを中心とする〈周茂叔連(しゆうもしゆくれん)〉,通称〈眼鏡連〉などがあった。明治になってからも連中の形式は続き,〈六二連(ろくにれん)〉〈水魚連(すいぎよれん)〉など,識者による連中が権威と勢力を持っていたが,しだいに連中の数も増え,連中相互の競争も激しくなり,弊害も現れるようになった。現在は,後援会という形の組織を役者がもつようになった。(2)元来は音楽,演芸などの一座をいうが,歌舞伎の場合は浄瑠璃,長唄などに出演して舞台に居並ぶ一行をいう。竹本連中,常磐津連中,長唄囃子連中など。
執筆者:土田 衞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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