あま(海人)(読み)あま

百科事典マイペディア 「あま(海人)」の意味・わかりやすい解説

あま(海人)【あま】

海中にもぐり魚介海草を採る人。男性は海士,女性は海女とも書く。千葉県,伊豆,伊勢,志摩,山口県大浦,福岡県鐘崎,石川県舳倉島(へくらじま),福井県雄島などの女あまや韓国済州島の潜女が有名。日本での北限は羽後の男鹿半島。10m内外の浅海にもぐる桶(おけ)あまは海に浮かべた桶にもたれて呼吸を整え,桶にテングサなどの採取物を入れる。それ以上の深海で作業するあまはテングサあまに対し貝あまといい,ふつう夫婦1組の〈ととかか舟〉に乗り,分銅を用いて沈み,腰の命綱を用いて浮上する。古文献に海人海部,蜑,白水郎と見え,安曇(あずみ)(とその傍系である住吉)系および宗像(むなかた)系(隼人系)の漂泊民であった。これらの人々の定住地には,海部,安曇(阿曇)といった関連地名が残り,住吉,宗像両系神社の勧請が記録されていることも多い。

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