ギーラーン州(読み)ギーラーン(英語表記)Gīlān

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギーラーン州」の意味・わかりやすい解説

ギーラーン〔州〕
ギーラーン
Gīlān

イラン北西部の州。州都ラシュト。北東はカスピ海に臨み,北はアゼルバイジャンと国境を接する。モンゴル帝国の支配下にあった一時期を除いて,アラブによるペルシアの征服後も独立を保ったが,1567年にペルシアに編入された。サフィード川の大きなデルタを含む海岸平野と,エルブールズ山脈隣接地域とに大別される。土壌は肥沃ローム層(→ローム)で,低地には砂丘と沼沢地が広がり,ジャングルのような森林にはカフカスクルミなどこの地方特有の植物が含まれ,ネムノキが平野の一部を覆う。イノシシ,オオヤマネコ,ヒョウ,ハイエナ,ジャッカル,シカなどの動物が生息し,沿岸地帯には水鳥が住む。耕地の大部分では米作が行なわれ,多くはロシアに輸出される。漁業は 1953年以来政府の管理下に置かれて重視され,チョウザメサケ,マスなどの漁獲物がある。キャビアは重要な輸出品。チャ(茶)や米などの加工工場もあり,マンジールにダムが建設されて工業が発展した。ラシュトのほか,マンジージャーン,ランガルードなどの都市,カスピ海の大きな港湾都市バンダレアンザリーがある。面積 1万4709km2。人口 240万4861(2006)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android