日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グレコ(Juliette Gréco)
ぐれこ
Juliette Gréco
(1927―2020)
フランスのシャンソン歌手、女優。2月7日南フランスのモンペリエに生まれる。7歳からパリで育った。第二次世界大戦中、母がレジスタンス運動で捕らえられて強制収容所に入れられ、15歳の彼女は1人で生きることになる。戦後サン・ジェルマン・デ・プレの地下酒場に出入りするうち、「実存主義のミューズ」と騒がれ、新聞や雑誌に載った。その人気に目をつけたキャバレーの経営者にくどかれて、1949年歌手としてデビュー。長い髪、黒一色のドレスでものうげに歌う彼女は一夜にしてスターになった。1951年ドービルのコンクールで『私は日曜日が嫌い』を歌ってエディット・ピアフ賞、1952年『ロマンス』でディスク大賞を受賞し、名声を確立した。フランス語のニュアンスを生かした詩的な唱法は定評がある。またジャン・コクトー監督の映画『オルフェ』(1949)以来映画にも出演した。1961年(昭和36)初来日。
[永田文夫]
『ジュリエット・グレコ著、中村敬子訳『グレコ 恋はいのち』(1984・新潮社)』