トリコミケテス(英語表記)Trichomycetes

改訂新版 世界大百科事典 「トリコミケテス」の意味・わかりやすい解説

トリコミケテス
Trichomycetes

接合菌類の中で特殊な位置を占める1綱。大部分の種は,ヤスデ昆虫をはじめとする節足動物の体表や消化管に付着して生活している。菌糸は付着器により動物の外骨格や消化管壁についており,隔壁をもたない。有性生殖は一部の菌で認められ,接合菌類についた菌糸接合により起こる。無性生殖胞子囊胞子あるいは分節型分生子による。現在,Harpellales,Asellariales,Kickxellales,Amoebidiales,Eccrinalesの5目に分けられているが,この綱の菌群の分類位置に関しては不明な点が多い。日本でもこれらの存在は見られるが,有性生殖,無性生殖の時代を通して見た完全な報告例はほとんどない。現在,総計38属,136種類が知られている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリコミケテス」の意味・わかりやすい解説

トリコミケテス
Trichomycetes

藻菌類として扱われている菌類の一群。そのうちアメビディウム Amoebidiumユスリカ幼虫の体表に着生するが,他のものはすべて節足動物の腸管内の,それぞれ決った個所に着生して,腸内を通過する食物がある程度消化されたものを利用している。エンテロブリウス Enterobryusはヤスデの後腸,ハルペラ Harpellaブユの幼虫の中腸,スタキライナ Stachylinaはユスリカの中腸,スミティウム Smittiumボウフラの後腸末端,エンテロミケス Enteromycesアカテガニの前腸に着生するなどきわめて特異な生態をとる。分節胞子でふえ,有性生殖の知られているものでは変った形態の接合子を生じる。

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