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藻菌類 そうきんるいPhycomycetes

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

藻菌類
そうきんるい
Phycomycetes

真菌類を分類するときの大きな分類群の一つ。系統的には近いと考えられない鞭毛菌類 Mastigomycotinaと接合菌類 Zygomycotinaとが含まれる。前者は生活環中必ず有毛の運動性の細胞 (すなわち遊走子または運動性配偶子) を有している。たとえばカワリミズカビ,サビツボカビ,ミズカビ,ワタカビ,ツユカビなどである。また後者は有性生殖の際に配偶子嚢接合を行う。たとえばケカビクモノスカビ,ミズタマカビ,ハリサシカビ,ブラッシュカビなどである。両者は子嚢も担子器も生じないで上述のように遊走子,運動性配偶子を生じたり,配偶子接合をすることが古くから知られており,それらの現象が藻類に似ているとしてこの名が起った。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

藻菌類
そうきんるい

菌類の歴史的な一分類群。藻類を祖先とし、藻類に似ている菌類として100年余り前に藻菌綱Phycomycetes(藻菌類)が設立され、その特徴として、隔壁のない菌糸、不定数の胞子をもつ胞子嚢(のう)、厚壁の接合子などがあげられた。これは生殖細胞の鞭毛(べんもう)の有無によって、鞭毛がない接合菌類と鞭毛がある卵菌類に分けられ、その後、毛状菌類(トリコミケス類)、接合菌類、卵菌類、あるいは無毛類(不動類)、一毛類、二毛類に分けられたり、二毛類は別とされたりしてきた。しかし現在では、藻類の色素が退化して菌類になったという藻菌類設定の一つの根拠である藻類起源説は否定され、藻菌類という菌群は認められなくなった。したがって、トリコミケスの仲間は接合菌類に含まれ、その他は鞭毛の特徴によってツボカビ類、サカゲツボカビ類、卵菌類に分けられ、ネコブカビの仲間は変形菌類に含まれるようになった。さらにこれらの菌類は独立して進化してきたものと考えられて、系統分類学上、それぞれ菌界中の門の地位に置かれている。[寺川博典]

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世界大百科事典内の藻菌類の言及

【接合菌類】より

…配偶子接合により接合胞子zygosporeをつくる菌類で,分類学的には接合菌亜門Zygomycotinaに含まれる。従来,藻菌類phycomycetesと称されたものは,この接合菌類と鞭毛菌類をいっしょにしていたものである。接合胞子は有性生殖器官であり,多くは球形,暗色,表面はとげでおおわれる。…

【鞭毛菌類】より

…菌類のうち,生活史のある時期に,鞭毛をもった遊走細胞を生ずるものをまとめた群で,分類上,亜門として扱われる。従来,藻菌類と呼ばれていた菌類のうちの,単毛菌類と二毛菌類とを合わせた菌群にあたる。無性生殖は遊走子囊から泳ぎ出る遊走子によって行われ,有性生殖も行う。…

※「藻菌類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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