ルイヨウボタン(英語表記)Caulophyllum thalictroides ssp. robustum (Maxim.) Kitam.

改訂新版 世界大百科事典 「ルイヨウボタン」の意味・わかりやすい解説

ルイヨウボタン
Caulophyllum thalictroides ssp. robustum (Maxim.) Kitam.

葉がボタンの葉に似ることから,ルイヨウボタン(類葉牡丹)の名がある。深山の比較的暗く湿った所に生育するメギ科多年草。高さ40~70cmで,無毛。基部に数枚の鱗片葉をつける。葉は2枚で互生し,下の葉は3回3出複葉,上の葉は2回3出複葉。茎の先端と,上部の葉腋(ようえき)から花序がでる。花はめだたない黄緑色。萼片は通常9枚で,内側の6枚は花弁状に大きくなっている。花弁は極端に小さく蜜腺状になる。おしべ6本で花弁に対生し,葯は弁開する。めしべは1本,1室で2個の胚珠がある。果皮は早期にくずれて,2個の青色種子が裸出する。日本全土,サハリン,北朝鮮,中国に分布し,同種の別亜種ssp.thalictroides(英名blue cohosh)が北アメリカ東部に分布する。根や根茎は利尿剤,鎮痙剤とされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルイヨウボタン」の意味・わかりやすい解説

ルイヨウボタン
るいようぼたん / 類葉牡丹
[学] Caulophyllum robustum Maxim.

メギ科(APG分類:メギ科)の多年草。根茎は太く、横にはう。地上茎は40~70センチメートルで粉白色を帯びる。葉は普通、茎上部に2枚互生し、2、3回3出複葉で柄はごく短い。小葉は長楕円(ちょうだえん)形で先は2、3裂し、頂小葉は有柄、側小葉は無柄。4~6月、径約1センチメートルの緑黄色花を十数個、集散状に頂生または腋生(えきせい)する。花弁は6枚、外側の萼片(がくへん)は3~6枚、花期には落ちる。内側の萼片は6枚。小さく蜜腺(みつせん)がある。種子は1個の花に2個ずつでき、球形で径約8ミリメートル、青く液果状。深山の温帯林下に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国、ウスリーに分布する。名は、葉がボタンに似るという意味である。

[鈴木和雄 2019年9月17日]

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