蜜腺(読み)みつせん

日本大百科全書(ニッポニカ)「蜜腺」の解説

蜜腺
みつせん

植物体の表面にあって、すなわち多量のを含む粘性の高い液を外に分泌する構造体をいう。球状、盤状などの形に突起している場合もあれば、他の部分と同じく平らな面をなしている場合もある。また、分泌組織が表皮だけである場合もあれば、内部の細胞が加わっている場合もある。分泌組織の付近には維管束があり、これによって蜜の原料が供給されている。蜜には、花に存在して花内蜜腺とよばれるものと、花以外の部分にあって花外蜜腺とよばれるものとがある。

 花内蜜腺は、虫や鳥などの小動物によって花粉を媒介される植物に普遍的にみられ、媒介動物を呼び寄せる役を果たす。花内蜜腺は花托(かたく)、(がく)、花冠、雄しべ、雌しべのいずれにも存在するが、どこに蜜腺をもつかは植物の種類によって異なる。花外蜜腺は、サクラ葉柄上部または葉身基部、ソラマメ托葉トケイソウの葉柄などにみられ、ある種のアリとの共生関係をもつのに役だっている場合もあるが、機能不明の場合も多い。

[福田泰二]

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百科事典マイペディア「蜜腺」の解説

蜜腺【みつせん】

被子植物にあって蜜を分泌する腺。虫媒花や鳥媒花でしばしばみられる。多くは花の中にある(花内蜜腺という)が,花以外にある(花外蜜腺という)こともある。花内蜜腺は子房の基部のおしべの間に生ずることが多く(アブラナ科),子房下位のものでは子房の上縁の花柱のまわりを盤状にとりまき(ユキノシタ科),おしべの退化したものと考えられる。花外蜜腺は葉柄(サクラ),托葉(ソラマメ)などにみられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「蜜腺」の解説

蜜腺
みつせん
nectary

蜜槽 (みつそう) ともいう。高等植物の主として花部 (子房の基部または子房とおしべとの間など) ,托葉,葉柄などに生じる蜜の分泌腺をいう。表皮層内に発達した細胞質に富んだ細胞集団で,花蜜を分泌する。ときに外面からもみられるような明瞭な花外蜜腺という器官になっていることもある (たとえばサクラの葉柄上のもの) 。

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精選版 日本国語大辞典「蜜腺」の解説

みっ‐せん【蜜腺】

〘名〙 被子植物の分泌腺の一つ。花蜜を分泌する組織または器官。多くは子房の基部、または子房と雄しべとの間にあり、虫媒のための役割をもつ。また、葉や茎など花以外の部分にあることもある。葉身の基部にあるサクラはその例。蜜槽。
※植学啓原(1833)二「蜜槽、花中貯甜液之処也」

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