吉蘇路（読み）きそじ

日本歴史地名大系

吉蘇路
きそじ

• 長野県：木曾郡
• 吉蘇路

「続日本紀」の大宝二年（七〇二）一二月一〇日条に「始開美濃国岐蘇山道」と記され、続いて和銅六年（七一三）七月七日条には「美濃・信濃二国之堺、径道険隘、往還艱難、仍通吉蘇路」と出てくる。大宝二年の「岐蘇山道」は、神坂（みさか）峠であるが、和銅六年の「吉蘇路」は木曾谷を縦貫する、いわゆる「木曾路」のことであるとするのが定説となっている。

次いで吉蘇路開通の翌年の和銅七年条には「閏二月戊午朔、賜美濃守従四位下笠朝臣麻呂封七十戸田六町、少掾正七位下門部連御立、大目従八位上山口忌寸兄人、各進位階、匠従六位上伊福部君荒当賜田二町、以通吉蘇路也」とあって、この難工事を担当した美濃の国守などに対して行賞が行われ、「令集解」には「古記云、殊功謂笠太夫作伎蘇道増封戸、須芳郡主帳作須芳嶺道授正八位之類也」と伝えており、当時吉蘇路開通がいかに重視されていたかがうかがわれる。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

世界大百科事典（旧版）内の吉蘇路の言及

【木曾路】より

…古代では吉蘇路あるいは岐蘇，吉祖，岐岨とも書き，近世以降は木曾路が一般化する。
［古代］
　吉蘇路は美濃国(岐阜県)と信濃国(長野県)を結ぶ道路であった。…

※「吉蘇路」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」