団々珍聞(読み)まるまるちんぶん

改訂新版 世界大百科事典 「団々珍聞」の意味・わかりやすい解説

団々珍聞 (まるまるちんぶん)

1877年(明治10)3月24日創刊の風刺雑誌。四六倍判。週刊。発行所は団々社,のち珍聞館。内務省を辞職した広島県人野村文夫が,筆禍を恐れて直言直筆できない新聞雑誌に代わり,風刺精神をもって政府の施策を批判するという趣旨で発刊した。内容の中心は社説にあたる茶説や雑報,狂詩歌狂句,狂画すなわち風刺漫画などで,読者の投稿を重視した。発刊以来爆発的人気を得て,〈まるちん〉の愛称で親しまれた。発行部数は最盛期で年間約25万9000余。自由民権運動の時流にのり,しばしば筆禍を被りながらも,改進党支持の論調で世論形成に少なからぬ役割を果たした。おもな編集関係者は梅亭金鵞(ばいていきんが),田島任天,総生寛(ふそうかん),真木痴囊(まきちのう),鶯亭金升(おうていきんしよう),山田美妙,福地桜痴,幸徳秋水ら,また狂画担当として本多錦吉郎,小林清親,田口米作らがいる。最終刊は1907年7月と推測される。30年も永続した風刺雑誌は同誌をおいてない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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