安全保障共同体(読み)あんぜんほしょうきょうどうたい(英語表記)security community

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安全保障共同体」の意味・わかりやすい解説

安全保障共同体
あんぜんほしょうきょうどうたい
security community

おもに国際政治に用いられ,アメリカの国際政治学者 K.W.ドイッチュ博士らによって提起された用語。その構成員が相互の関係を平和的に調整し,永続的な形でその共同生活を安全に発展させるに足りるだけの制度化と組織化,および意識状態を達成した集団をいう。すなわち,一定程度の統合産物であるが,一国家の構成員が紛争戦争暴力によって解決しようとする場合もあるから,国家が安全保障共同体になるとはかぎらない。他方,単一の国家の外に構成される安全保障共同体としてはヨーロッパ連合 EUなどがある。安全保障共同体には,政治権力の集中度により,集中度の高い融合的なものと低い多元的なものとがあり,今日,平和的に国際統合を実現してゆくには,国家間に多元的な安全保障共同体を構成するのが有効な方法であると考えられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android