宿札(読み)ヤドフダ

デジタル大辞泉 「宿札」の意味・読み・例文・類語

やど‐ふだ【宿札】

江戸時代大名旗本などが宿泊する本陣脇本陣の門または宿の出入り口に、宿泊者の名を書いて掲げた札。関札せきふだ。しゅくさつ。
姓名などを記し、門口に掲げて、その人の住居であることを知らせる札。表札門札
「そのかどをも恥ぢず、―見かけてまはりぬ」〈浮・好色盛衰記〉

しゅく‐さつ【宿札】

やどふだ1」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「宿札」の意味・読み・例文・類語

やど‐ふだ【宿札】

〘名〙
① 旅宿で誰が宿泊しているかを示す札。江戸時代には、大名や貴人などの宿泊の標識として「何々様御泊」と記し、宿駅の出入口と本陣の前に立てた札。長さ三尺半(約一メートル)、幅一尺(約三〇センチメートル)ほどの木札を、一丈半(約四・五メートル)程度の竹の先につけて、大大名の時は三枚、それ以下の大名は二枚を立てた。特別な場合や旗本・陪臣の宿泊の際には、奉書紙をもって本陣に貼ることもあった。関札(せきふだ)泊札(とまりふだ)。しゅくさつ。
太平記(14C後)八「我前に京へ入て、よからんずる宿をも取、財宝をも官領せんと志て、宿札(ヤドフダ)共を面々に、二三十づつ持せて」
② 氏名などを記して門口に掲げ、その人の住居であることなどを示す札。表札。門札。家札(やふだ)
※俳諧・埋草(1661)一「鶯の宿札か梅に小短尺〈貞盛〉」

しゅく‐さつ【宿札】

〘名〙 宿屋の名と宿泊人の姓名とを記した札。大小名、旗本などの宿泊する宿屋の前に掲げた。

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