帷幄上奏権(読み)いあくじょうそうけん

旺文社日本史事典 三訂版 「帷幄上奏権」の解説

帷幄上奏権
いあくじょうそうけん

旧陸海軍がもった上奏についての権限
帷幄」とは陣営に使う幕をいい,軍司令官が軍議をはかるところの意。「上奏」とは天皇に意見や事情を申しあげること。1878年,天皇に直属し軍令事項を総轄する参謀本部が設置され,軍令事項は内閣を経ず直接天皇に上奏できるようになった。憲法第11条に規定。内閣の方針軍部とが,一致をみない場合には,軍部が独自の上奏をして混乱をまねいた。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の帷幄上奏権の言及

【陸軍省】より

…内閣官制にいう行政各部のひとつで,陸軍の軍事行政を管掌する機関。長官・次官は1885年の内閣制度成立前は陸軍卿・陸軍大輔,内閣制下では身分としてはともに文官である国務大臣の陸軍大臣および陸軍次官(1900‐03年は総務長官)。1872年(明治5)に兵部省を陸軍省,海軍省に分離して成立し,1945年11月に第一復員省に改組され消滅した。陸軍省設置当時は陸軍に関する総合官衙であったが,1874年に参謀局を設置して外局とし,78年に参謀本部を独立させ,軍政機関=陸軍省,軍令機関=参謀本部の並立となった。…

※「帷幄上奏権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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