方広寺石塁および石塔(読み)ほうこうじせきるいおよびせきとう

国指定史跡ガイド 「方広寺石塁および石塔」の解説

ほうこうじせきるいおよびせきとう【方広寺石塁および石塔】


京都府京都市東山区茶屋町にある寺院跡。方広寺は天台宗の寺院で、その境内は七条通の北側一帯を占めていた。1586年(天正14)、豊臣秀吉によって造営され、大仏殿を含む中心伽藍(がらん)は見事な石塁によって囲まれ、大仏殿には東大寺のものより大きい18mの木製金漆塗りの大仏像が鎮座していたという。石塁の正面幅は259m、南北奥行きは230mであった。その後、落雷や地震によって被害を受け、創建当時の威容を偲ばせるものは石塁だけとなったが、1969年(昭和44)に2基の石塔とあわせて国の史跡に指定された。現在は、大仏殿跡地に秀吉を祀る豊国神社が建っている。石塔の一つは耳塚に立つ五輪の塔で、豊国神社の西にあり。秀吉の文禄・慶長の役の際、戦功の証に持ち帰った朝鮮軍民男女の鼻や耳を埋葬した地といわれる。もう一つは豊国神社境内にある馬塚の五輪の塔である。方広寺は大坂冬の陣の発端となった鐘銘事件でも知られている。京阪電鉄京阪本線七条駅から徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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