準国際私法(読み)じゅんこくさいしほう(英語表記)quasi-private international law

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「準国際私法」の意味・わかりやすい解説

準国際私法
じゅんこくさいしほう
quasi-private international law

同一国内地域間の私法上の抵触を解決し,適用すべき私法を定める法。日本のように全国一律に一つの法秩序が規律している国とは異なり,一国内に複数の法秩序が並存する国も存在する。そのような国を不統一法国という。不統一法国には2種類ある。一つは,地方によって法律を異にする国であり,アメリカ,イギリスなどがその例である。いま一つは人種宗教などにより,人によって法律を異にする国であり,インドインドネシアなどがその例である。不統一法国の場合,国内事件でも一国内の複数の法秩序のなかから準拠法を選択する必要が生じ,その役割を果すのが準国際私法である (人的不統一法国の場合は人際法とも呼ばれる) 。一般の国際私法が世界各国の法律のなかから準拠法を選択することを任務としていることに対比した用語である。日本の国際私法上,本国法が適用されるべき場合,その国が地域的または人的な不統一法国であるときには,第1次的にはその国の準国際私法を適用し,その国の法律のなかから特定の法律を選んで本国法とすることとされている (法例 28条3項,31条1項) 。

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世界大百科事典(旧版)内の準国際私法の言及

【法の抵触】より

…アメリカ,カナダ,メキシコ,スイス,旧ユーゴスラビアなどにその例がある。これは州際法・準国際私法と呼ばれる抵触規定で処理される。またインドなど多くの人種・民族・宗教宗派・社会階層が一国内でそれぞれ独立の集団をなし,それぞれが固有の法律をもっているときは,いずれの集団に属するかによって適用される法律が異なってくる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」