火水(読み)カスイ

デジタル大辞泉 「火水」の意味・読み・例文・類語

か‐すい〔クワ‐〕【火水】

火と水。つらく困難な状況などにもたとえていう。水火
「同じくは―の中へ飛び入っても」〈紅葉多情多恨
性質の相反するもののたとえ。
「精神上の―の争いも」〈花袋・描写論〉

ひ‐みず〔‐みづ〕【火水】

火と水。水火すいか
ひどく仲が悪いこと。「火水の仲」
勢いの激しいこと。
「―の勝負を決せんと」〈浄・近江源氏
火に焼かれ水におぼれる苦痛。
「此の場において―の拷問にかけ」〈伎・韓人漢文〉

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精選版 日本国語大辞典 「火水」の意味・読み・例文・類語

ひ‐みず ‥みづ【火水】

〘名〙
① 火と水。水火。
※新和歌(1258‐59頃)釈教「ゆく道を教ふる法のなくばこそひみつの河の浪にさはがめ〈藻壁門院但馬〉」
② 水におぼれ火に焼かれる苦痛。また、そのような苦しみ。
浄瑠璃・初庚申楽遊(1679)三「某がかい取申うへは火水になさんもままなれ共」
③ (火災洪水の勢いが激しいことから) 勢いの激しいことのたとえ。
※浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)八「火水の勝負を決せんと」
④ 互いに相いれないもの。交情がきわめて悪いこと。

か‐すい クヮ‥【火水】

〘名〙
① 火(ひ)と水(みず)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
② たいへんつらいこと、きわめて困難な状況などのたとえ。
※浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中「我子の命をたすけん為火水のそこへはしづまふが」
相容(い)れないもの、相反するもののたとえ。
※遊楽習道風見(1423‐28頃)「火水の別性を無色の空躰より生する事、是、いづれの縁正ぞや」

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