釜中の魚(読み)フチュウノウオ

デジタル大辞泉 「釜中の魚」の意味・読み・例文・類語

釜中ふちゅううお

《「資治通鑑」漢紀から》まもなく煮られようとしている釜の中の魚。死が迫っていることをいう語。うお釜中に遊ぶが如し。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「釜中の魚」の解説

釜中の魚

滅びる運命目前に迫っているもののたとえ。

[使用例] 死生苦楽を共にせんと、誓いたる親友が、久しく獄舎つながれて、釜中の魚に似たるの有様は[矢野竜渓経国美談|1883~84]

[由来] 「後漢書張綱伝」に出て来るエピソードから。二世紀、後漢王朝時代の中国でのこと。反乱が二〇年以上続いているある地方に、張綱という政治家が鎮圧のために派遣されました。このとき、張綱は一人で反乱軍の首領と面会し、「今、降伏すれば寛大な処置を約束するが、そうでなければ大軍で攻め立てることになる」と理を尽くして説得しました。すると、反乱軍の首領は、「自分たちは、『魚の釜中に遊ぶがごとく(火に掛けられた釜の中を泳ぎ回っている魚のように)』、つかの間の生を貪っていましたが、おっしゃることを聞いて心を入れ替えました」と述べ、反乱は無事に治まったということです。

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