矢野竜渓(読み)ヤノリュウケイ

デジタル大辞泉 「矢野竜渓」の意味・読み・例文・類語

やの‐りゅうけい【矢野竜渓】

[1851~1931]政治家・小説家。大分の生まれ。本名文雄大隈重信もと官吏となり、さらに立憲改進党結成参画。また、報知新聞大阪毎日新聞参与政治小説随筆などで文名を上げた。小説「経国美談」「浮城うきしろ物語」「新社会」など。

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百科事典マイペディア 「矢野竜渓」の意味・わかりやすい解説

矢野竜渓【やのりゅうけい】

政治家,ジャーナリスト,小説家。本名文雄。豊後(ぶんご)の人。慶応義塾卒。1876年《郵便報知新聞》に副主筆として入社。1878年福沢諭吉推薦大蔵省に入り,のち大隈重信の立憲改進党結成に貢献。明治14年の政変で大隈が下野すると《郵便報知新聞》に戻り社長。政治小説《経国美談》や冒険小説浮城物語(うきしろものがたり)》を発表,のち社会主義に関心をもち《新社会》を書いた。

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世界大百科事典 第2版 「矢野竜渓」の意味・わかりやすい解説

やのりゅうけい【矢野竜渓】

1850‐1931(嘉永3‐昭和6)
ジャーナリスト,小説家,政治家。本名文雄。大分県出身。慶応義塾卒業後,同大阪分校などの校長を勤め,1876年《郵便報知新聞》に副主筆として入社した。78年大蔵省に出仕したが,明治14年の政変による大隈重信下野とともに《郵便報知新聞》に戻り,社長となる。改進党の結成に参画,主導的役割を果たし,その幹部となった矢野は同紙を改進党機関紙とし,政府系や自由党系の新聞と対抗した論陣を張った。また《経国美談》などの政治小説を同紙に連載し,文学を通じての民権思想の民衆への浸透を図った。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「矢野竜渓」の解説

矢野竜渓 やの-りゅうけい

1851*-1931 明治-大正時代のジャーナリスト,新聞経営者。
嘉永(かえい)3年12月1日生まれ。「郵便報知新聞」副主筆をへて,明治11年大蔵省にはいり,太政官大書記官にすすむ。14年大隈(おおくま)重信にしたがって退官。大隈とはかって「郵便報知新聞」を買収,社長となり,立憲改進党結成に参加。16年政治小説「経国美談」を出版。30年清(しん)(中国)公使。のち大阪毎日新聞社副社長。昭和6年6月18日死去。82歳。豊後(ぶんご)(大分県)出身。慶応義塾卒。本名は文雄。著作に「新社会」など。
【格言など】誇りの心は総(すべ)ての人の生命である(「不必要」)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「矢野竜渓」の解説

矢野竜渓
やのりゅうけい

1850.12.1~1931.6.18

明治期の政治家・文筆家。豊後国生れ。本名文雄。慶応義塾卒。1876年(明治9)「郵便報知新聞」副主筆となる。一時大蔵省書記官に任用され退社したが,明治14年の政変後に復帰,社長となる。改進党に参加し,83年政治小説「経国美談」を発表。国会開設後は宮内省式部官や駐清公使となる。1903年「社会主義全集」を公刊。明治末期から大阪毎日新聞社に関係した。

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世界大百科事典内の矢野竜渓の言及

【経国美談】より

矢野竜渓の政治小説。1883年(明治16)に前編,翌年後編刊行。…

【政治小説】より

…ほかに自由党系の《自由灯(じゆうのともしび)》,改進党系の《改進新聞》も,政治小説の有力な発表機関だった。これらの新聞は政治小説の啓蒙的役割を重視したが,その記者にも《自由新聞》の桜田百衛(ももえ)(1859‐83),《絵入自由新聞》の小室案外堂(あんがいどう),《報知新聞》の矢野竜渓,尾崎咢堂,《改進新聞》の須藤南翠(なんすい)ら政治小説家として活躍した人が少なくない。大デュマの《一医師の追憶》を翻案した《仏国革命起源 西洋血潮小暴風(にしのうみちしおのさあらし)》(1882)で,原作にない熱烈な民権論を鼓吹したことで東洋のユゴーと呼ばれた桜田は83年に夭折するが,その志を継いで革命文学としての政治小説を精力的に執筆したのは宮崎夢柳(1855‐89)である。…

※「矢野竜渓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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