雲となり雨となる(読み)クモトナリアメトナル

デジタル大辞泉 「雲となり雨となる」の意味・読み・例文・類語

くもとなりあめとな・る

時によって変化し、どちらとも定まらないことをいう。
消えやすいことをいう。消えてなくなってしまう。
「―・りてやたつた姫秋の紅葉の色を染むらん」〈続古今・秋下〉
宋玉「高唐賦」から》男女、または衆道しゅどうの契りのこまやかなことにいう。
「―・るてふなかぞらの夢にも見えよよるならずとも」〈新勅撰・恋三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「雲となり雨となる」の意味・読み・例文・類語

くも【雲】 と なり雨(あめ)となる

① 男女、また衆道の契り、また、その情のこまやかなことをたとえる。
※新勅撰(1235)恋三・八二八「くもとなりあめとなるてふなかぞらのゆめにも見えよよるならずとも〈藤原有家〉」 〔劉廷芝‐公子行〕
雲雨などのように、あとかたなく消えてしまう。消えてなくなる。人の死後の姿などにたとえて用いることもある。
※車屋本謡曲松山鏡(1539頃)「雲となり雨となり、陽台の時とどめ難く」
③ 雲とも、雨とも時によって変わる。どちらとも定まらないさま、変化の激しいさまにたとえていう。
※謡曲・融(1430頃)「月もはや影傾きて明け方の雲となり雨となるこの光陰に誘はれて」

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