精選版 日本国語大辞典 「ゆめ」の意味・読み・例文・類語
ゆめ
- 〘 副詞 〙 ( 「努」「努力」「勤」「慎」「夢」などと当てる )
- [ 一 ] ( 強く注意をうながす意からという )
- ① 斎(い)みつつしんで。気をつけて。つとめて。
- ② 禁止の語句と共に用いる。決して(…するな)。必ず(…するな)。
- [ 二 ] ( [ 一 ]の「ゆめ」を「夢」と混同しての用法か ) 打消の語を伴って用いる。夢にも(…しない)。すこしも(…しない)。
- [初出の実例]「落窪の君と夢知らず、また一所に参りつどはん事ともゆめ知らで」(出典:落窪物語(10C後)三)
- 「勤(ユメ)色にも出さざりしを」(出典:読本・雨月物語(1776)白峯)
ゆめの語誌
古く、潔斎する意の動詞「斎(ゆ)む」の命令形とされてきたが、疑問が残る。また、「ゆゆし」などの「ゆ」と、「め(目)」とから成るもので、物事を忌み謹んだ目をもって注視せよという、いわば誓詞、忠告の働きから出たものとする説もある。平安時代以降は「夢」と混同されたとみられる。