改訂新版 世界大百科事典 「〓村遺跡」の意味・わかりやすい解説
村遺跡 (けいそんいせき)
Jīng cūn yí zhǐ
中国山西省万泉県荆村瓦渣斜の黄土台地にある新石器時代の遺跡。1931年に董光忠が,42年に和島誠一が発掘した。3層にわたって重なり合う竪穴の多くは平面が円形をなし,底部が平らで広く口部のすぼまった袋状の貯蔵穴である。土器を焼く窯跡が2個発見されている。土器は薄手良質の紅陶系の彩陶,砂粒を含む厚手の灰陶と薄手良質の黒陶の3種があり,各層に相似た割合で混在している。石斧,石庖丁,石鏟(鋤形農具)などの磨製石器のほかに,骨針,骨錐,骨角鏃,骨角笄などの骨角器や土製の環と貝輪などが出ている。また,黍(モチキビ)や稷(キビ)が発見され,この種の植物が栽培されていたことを示している。犬や羊の骨も出土しており,家畜として飼養されていたらしい。彩陶の文様と器形は廟底溝類型の仰韶文化のものに酷似し,また黒陶系の鬲(れき)は明らかに竜山文化のもので,2時期にわたる遺跡であることが知られる。
執筆者:横田 禎昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報