アイオロス(読み)あいおろす(英語表記)Aiolos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイオロス」の意味・わかりやすい解説

アイオロス
あいおろす
Aiolos

ギリシア神話の風の神。ヒッポテスまたは海神ポセイドンの子。アイオリア島に住み、風を洞穴または革袋の中に閉じ込めている。オデュッセウスが帰国の途中にこの島へ漂着したとき、風神は英雄を親切に迎え、出発の際には故郷のイタカ島への順風以外のすべての風を閉じ込めた革袋を贈った。しかし、オデュッセウスが寝ている間に仲間たちが中身を酒と誤ってあけたため、あらゆる風が吹き出てすさまじい嵐(あらし)がおこり、船はふたたびアイオリア島に打ち戻された。オデュッセウスはまたもや順風を求めてきたが、風神は神々の怒りを恐れて援助を断った。またアイオロスは、ギリシア人の祖ヘレンとニンフのオルセイスの子、およびポセイドンとアルネ(またはメラニッペ)の子(ともにアイオリス人の祖先)と同一視されている。

[小川正広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイオロス」の意味・わかりやすい解説

アイオロス
Aiolos

ホメロス叙事詩オデュッセイア』に登場するギリシア神話の風神。浮島アイオリアに兄弟姉妹同士結婚している6人の息子と6人の娘とともに住み,すべての風を支配する。オデュッセウスを1ヵ月間歓待し,彼に西風以外のすべての風を中に閉じ込めた皮袋を与え,帰国させようとしたが,オデュッセウスの部下が途中でこの袋を開いたため,船はまたアイオリア島に逆戻りしてしまったという。

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