風神(読み)フウジン

  • かぜのかみ
  • ふうしん
  • 風神 fēng shén

百科事典マイペディアの解説

古くは風伯風師とも。風の神。中国では箕星(きせい)(今日のいて座)を風害よけにまつり,秦,漢以後は敏速善走の人物飛廉を風伯に擬した。日本では裸で風袋をかつぎ天空をかける姿で描かれる。神道では級長津彦(しなつひこ)命,志那津比売(しなつひめ)命の男女の風神をまつり,竜田神社,広瀬神社などで風害よけと豊作を祈った。西洋にも風神があり,ギリシア神話のゼフュロス,ボレアスノトスアイオロスなどが有名。→雷神

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世界大百科事典 第2版の解説

いわゆる〈風の神〉をいう。中国では,風伯,風師ともいい,飛廉,箕伯などの名で呼ばれる。風は大気の動きであり,日々の天候や時節の移り変りと深いかかわりがあるので,古くからとくに注意をはらわれており,東西南北の四方にそれぞれの風神が考えられた。甲骨文では,鳳形の鳥によって示されており,古くは鳥形の神と考えられたらしい。殷代では,犬を犠牲としてこれを祭ることが多く,後世,風を止めるのに,大道で犬を(たく)する習俗となって残った。

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大辞林 第三版の解説

風をつかさどる神。一般に裸形で風袋をかつぎ天空を駆ける姿にかたどる。風の神。風伯。
風格。 -高邁

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

風をつかさどる神。古代中国では風伯(ふうはく)といい、つねに雨の神「雨師(うし)」とともに、丙戌(ひのえいぬ)の日に西北で祭るという慣行があった。わが国では主として雷神と対(つい)にして考え、中世にはこの二神を鬼形に表現した絵や彫像も発達した。
 風神の社として古く著名であったのは大和(やまと)(奈良県)の龍田比古(たつたひこ)神社・龍田比女(ひめ)神社で、『延喜式(えんぎしき)』には四時祭式(しじさいしき)にその祭式規定があり、祝詞(のりと)式にその祝詞の全文が収められている。伊勢(いせ)の内宮(ないくう)・外宮(げくう)にはともに別宮(べつぐう)として風宮(かぜのみや)があり、かの元寇(げんこう)のときにはここから神風が吹いたという伝承がある。信州(長野県)の諏訪(すわ)大社も風の宮といわれ、このほうではもっぱら風の害のないことが祈念された。近代に入ってからでも風祭りとか風祈祷(きとう)といって、風害のないことを祈る風(ふう)は多かった。その時期は主として二百十日前後であったが、所によっては5月・6月、あるいは春先にもこれを行っていた。その祭りに念仏踊が結び付いている例もある。[石塚尊俊]

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精選版 日本国語大辞典の解説

[1] 〘名〙
① 風をつかさどる神。裸形で風袋(かざぶくろ)をかついだ姿に描く。風神(ふうじん)
※書紀(720)神代上(水戸本訓)「号(な)を級長戸辺(しながとへ)の命と曰(まう)す。〈略〉是れ風神(カセノカミ)なり」
② 風邪をはやらせる厄病神。
※人倫訓蒙図彙(1690)七「世間に風気時行(はやり)ぬれば、風(カセ)の神(カミ)をおひはらふとて」
※雑俳・青木賊(1784)「ぞっとする・ぬるい風呂場に風の神」
③ こじきの一種。江戸時代、風邪がはやった時、風の神を追い払うといって、仮面をかぶり、太鼓を打って、金品をもらい歩いた者。風の神払い。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂「風の神と相住して」
④ 江戸時代、風邪が流行した時、②に見立ててつくった人形。→風の神を送る
※浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上「風の神か鳥おどしのようなざまで」
※浮世草子・西鶴置土産(1693)四「いよいよ雨の宮、風の神をいのりけるが」
〘名〙
① 風をつかさどる神。一般には裸形で風袋をかつぎ天空をかける姿にかたどる。寺内では千手観音の眷属である二十八部衆と並べて安置される。ほかに雷神と対にしてあらわされる。風の神。
※浄瑠璃・烏帽子折(1690頃)一「風神(フウジン)・雷神・厄神」
② 風貌にあらわれた精神。風格。〔晉書‐裴楷伝〕
③ 気品のあるおもむき。すぐれたおもむき。気韻。
※淡窓詩話(19C中)上「王が景を写すは、写意を主として微細に及ばず。貴ぶ所は風神に在り」 〔南史‐褚彦回伝〕

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世界大百科事典内の風神の言及

【バーユ】より

…ヒンドゥー教の風神。〈風天〉と漢訳される。…

【方位】より

…それ以前には地図の方位基準は一定でなく,その時代の世界観を表し,たとえば東方の地上楽園を地図のいちばん上に置いた中世ヨーロッパの地図や,南が上になっているイスラム世界の地図などがみられる。方位記号も頰をふくらませて息を吹きつけている風神の顔や文字がそれぞれの位置に配されている例がみられる。方位観念には,地域,時代によりさまざまな基準によるものがある。…

※「風神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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