アウトライアー規制(読み)あうとらいあーきせい(その他表記)outlier regulations

知恵蔵 「アウトライアー規制」の解説

アウトライアー規制

バーゼルIIでは、銀行に対して、規制上の自己資本比率でカバーしていないリスクへの対応を第2の柱として求めている。その一環として、銀行にバンキング勘定の金利リスク管理体制の整備を要求している。具体的には、(1)上下200ベーシスポイント(BP〈1BP=0.01%〉)の平行移動による金利ショック、または、(2)保有期間1年(240営業日)、観測期間最低5年として上下1%の確率で発生する金利変動により、バンキング勘定の金利関連資産・負債デリバティブ取引等に、Tier1自己資本とTier2自己資本の合計の20%を超える経済価値の低下が発生する銀行を「アウトライアー銀行」と定義している。その上で、監督当局にはアウトライアー銀行に対して特に注意を払うよう求めている。日本では、アウトライアー銀行は2007年4月から早期警戒制度の対象とされる。アウトライアー銀行に該当した場合、当局がヒアリングを行い、必要に応じ報告徴求、業務改善命令を実施する。日本の場合、国債を多額に保有している銀行が多く、アウトライアー銀行が多数出ることが懸念されていたが、金利関連負債に、銀行に長期に滞留している流動性預金(コア預金)を含めることで影響緩和が図られている。

(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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