アジャンタ石窟(読み)アジャンタせっくつ(英語表記)Ajanta Caves

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アジャンタ石窟」の意味・わかりやすい解説

アジャンタ石窟
アジャンタせっくつ
Ajanta Caves

インド西部,マハーラーシュトラ州アウランガーバードの北東にある仏教の石窟寺院。ワゴーラー川沿いの高さ 20m余の花崗岩質の断崖に,29の石窟が並ぶ。東から数えて第9,10,19,26,29窟がチャイティヤ (祠堂) 窟で,他はビハーラ (僧房) 窟。第 10窟が前 100年頃の開掘で最も古く,第9窟がこれに次ぎ,第8,11,12,13,15窟などが紀元前後頃までに開掘された。以後,中断期をはさみ,第 16,17,19窟などが5世紀末に造られ,他の諸窟は引続き7世紀初頭頃までに造営されたらしい。概して中断期以前の諸窟は構造が簡素で彫刻も乏しいのに対し,それ以後の諸窟は建築的に発達し,彫刻もふえ,装飾もはなやかとなる。壁画は第9,10窟のものが紀元前後に属する仏教壁画最古の遺例。豊富に残っているのは第 16,17窟や,第1,2窟などで,尊像画,説話画,装飾画などでおおいつくされている。特に第1窟の蓮華手菩薩や第 16窟の『ナンダの妻の嘆き』は著名 (→アジャンタ壁画 ) 。彫刻では第 19,26,29窟など,チャイティヤ窟にみるべきものが多く,如来像,千仏像,菩薩像,ミトゥナ像,力士像などが刻まれている。なかでも第 19窟の巨大な釈迦涅槃像,第 26窟の説法印釈迦像が有名。 1983年世界遺産の文化遺産登録

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