最新 地学事典 「アダカイト」の解説
アダカイト
adakite
沈み込んだ海洋地殻が直接部分溶融して形成されたと考えられる安山岩~流紋岩質火成岩類を,M.J.Defant et al.(1990)が命名。S.M.Peacock et al.(1994)の再定義により,Mg・Cr・Niに富む安山岩類(バハアイトに相当)は除外された。第四紀の典型的な例としては,パナマ西部の新期火山岩中のデイサイト,北米のセントヘレンズ火山のデイサイト,チリ最南端部のデイサイトなどがある。デイサイト~Na流紋岩を主とする珪長質火山岩およびそれに相当する花崗閃緑岩~トーナル岩~トロニエム岩である。Al2O3に富み(>15%)しばしばノルムコランダムが算出されること,重希土類元素やY(<15~18ppm)に乏しいこと,Srに富み(>400ppm)Euの負異常を示さないこと,Sr同位体初生値が低い(<0.704)ことなどの岩石化学的特徴を示す。また,同源と考えられる玄武岩質岩を伴わない。記載岩石学的には変化に富むが,斜長石とホルンブレンドを普遍的に含む。特にSr/Y比が高い(>40)点で一般のカルクアルカリ岩と区別される。沈み込む海洋地殻の年齢が25Maより若い沈込み帯に限って分布する。アダカイトは,沈み込んだ海洋地殻が,エクロジャイトまたは角閃石エクロジャイトを残留固相として部分溶融したものと説明され,またその特徴は,太古代のAl2O3に富む花崗岩質岩と共通であるため,地球史における大陸地殻の形成に重要な役割を果たしたと考えられている。しかし,海洋地殻の直接の部分溶融説とは別に,玄武岩質下部地殻物質の比較的高圧下での部分溶融によるとする成因論もある(M.P.Atherton et al., 1994など)。参考文献:M.J.Defant et al.(1990) Nature, Vol.347
執筆者:土谷 信高
参照項目:バハアイト
参照項目:火成岩などの規格化に使用される微量元素組成表
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

