エクロジャイト(読み)えくろじゃいと(英語表記)eclogite

デジタル大辞泉 「エクロジャイト」の意味・読み・例文・類語

エクロジャイト(eclogite)

塩基性完晶質粒の変成岩。ほとんど柘榴石ざくろいし輝石からなり、高圧型変成帯に産する。榴輝岩りゅうきがん

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エクロジャイト」の意味・わかりやすい解説

エクロジャイト
えくろじゃいと
eclogite

榴輝岩(りゅうきがん)ともいう。一般的には単斜輝石とカルシウムに乏しいざくろ石とからなる塊状の岩石。単斜輝石とざくろ石の組成上の特徴や、地質学的産状からみると、次の4種類に分けられる。

(1)比較的高温で生成した変成岩に伴うもの。単斜輝石はアルカリに乏しく、ざくろ石はマグネシウムに富む。ノルウェースコットランドの変成岩地帯に産する。

(2)中程度の温度条件の変成岩に伴うもの。ざくろ石はマグネシウムに富むが、単斜輝石もややアルカリに富む。ときには石英や藍晶石(らんしょうせき)を伴う。ノルウェーやスコットランドの、(1)とは違う変成岩地域に産出する。

(3)単斜輝石はアルカリに富むが、ざくろ石はマグネシウムに乏しい。この種のものはアメリカ西海岸の藍閃(らんせん)変成岩地帯など、比較的低い温度と高い圧力の下で生成した変成岩に伴って産出する。

(4)単斜輝石がアルカリに乏しく、ざくろ石はマグネシウムに富む。橄欖(かんらん)岩体の中、キンバレー岩玄武岩中の捕獲岩などとしてみいだされ、おそらくマントル上部の高温高圧下で生成したものであろう。

 エクロジャイトは一般に玄武岩に似た化学組成をもつが、玄武岩が輝石と斜長石主成分とするのに対し、密度の高いざくろ石や輝石からなる。これはエクロジャイトが地下深部の高圧条件の下で生成したことを示す。

[橋本光男]

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改訂新版 世界大百科事典 「エクロジャイト」の意味・わかりやすい解説

エクロジャイト
eclogite

アルマンディンalmandine(Feの多いザクロ石)-パイロープpyrope(Mgの多いザクロ石)系のザクロ石とNaやAlを含むカルシウム単斜輝石(オンファス輝石)を主成分鉱物とする等粒状の岩石である。角セン石,ルチル,ラン晶石,石英を伴うときがある。現在では一般にCaの多い単斜輝石とFeとMgに富むザクロ石を主成分鉱物とする岩石を指す場合が多い。エクロジャイトは代表的にはエクロジャイト相の高度変成岩であるが,ランセン石片岩相から緑レン石-角セン岩相,グラニュライト相の変成相に属するエクロジャイトもある。いずれも地殻下部から上部マントルで安定な岩石である。エクロジャイトには玄武岩質マグマの高圧下での沈積岩cumulate rockもあるらしい。四国,三波川(さんばがわ)変成帯の東赤石山のエクロジャイトは世界的にも最も低い温度で生成されたものとして有名である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エクロジャイト」の意味・わかりやすい解説

エクロジャイト
eclogite

柘榴石輝石を主成分とする塩基性完晶質の岩石。榴輝岩ともいう。比重 3.4~3.5。玄武岩の高圧下の変成作用相転移)によって形成されたものとして,上部マントルを構成する岩石と推定する説がある。アフリカ南部のダイヤモンドを産出するキンバレイ岩パイプ中にもエクロジャイトがみられる。エクロジャイト中の柘榴石に取り囲まれるようにダイヤモンドが発見されることがある。これらはエクロジャイトがマントルの少なくとも一部に存在することも示すものとして注目される。

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化学辞典 第2版 「エクロジャイト」の解説

エクロジャイト
エクロジャイト
eclogite

りゅう輝石ともいう.ざくろ石輝石からなる塩基性の変成岩.密度は約3.4 g cm-3 で,マントル上部を構成する岩石の一つと考えられている.その化学組成は玄武岩に類似する.玄武岩溶融体を高圧下で冷却すると,ざくろ石と輝石になる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

岩石学辞典 「エクロジャイト」の解説

エクロジャイト

榴輝岩

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のエクロジャイトの言及

【超マフィック岩】より

…しばしば超塩基性岩と同義語に用いられる。しかし例外もあり,パイロクシナイトや多くのエクロジャイトなどは超マフィックであるが,SiO2が45重量%以上で超塩基性ではない。おもなものは,カンラン岩,パイロクシナイト,コートランダイト,エクロジャイト,キンバーライト,コマチアイトなどで,カンラン岩とパイロクシナイトは,カンラン石と斜方輝石と単斜輝石の量比により,図のように分類されている。…

※「エクロジャイト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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