日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アディソン・ウェスリー・ロングマン
あでぃそんうぇすりーろんぐまん
Addison Wesley Longman Inc.
アメリカの出版社。イギリスの老舗(しにせ)出版社ロングマンと、アメリカの大手教育出版社アディソン・ウェスリーとが1995年に合併して発足した。イギリスのメディア・コングロマリット企業ピアソンPearson PLCの傘下子会社として、英語圏最大規模の教育出版グループ「ピアソン・エデュケーション」を構成する。
1724年に創業者トマス・ロングマンThomas Longman(1699―1755)によって設立されたロングマン社は、現存する商業出版社としては世界一古い。1755年に辞書編纂(へんさん)者のサミュエル・ジョンソンによる初の包括的な英語辞典『A Dictionary of the English Language』を出版。創立以来、ロングマン社はイギリス最大の総合出版社としての地位を保ってきた。教育関連の出版物を中心に、科学技術関係書、児童書、一般書、医学書などを刊行し、そのなかにはワーズワース、コールリッジ、チャーチルなどの作品も含まれている。1968年以降はピアソンの傘下に入り、同系列下にはペーパーバック・シリーズのペンギン・ブックスで知られるペンギン・グループ、イギリスの経済専門紙『フィナンシャル・タイムズ』Financial Timesを発行するフィナンシャル・タイムズ・グループなどがある。
ピアソン傘下に入ったロングマンは、その後拡大の一途をたどる。1988年にピアソンに買収されたアディソン・ウェスリーと1995年に合併して現社名に変更ののち、1996年にはアメリカの由緒ある出版社ハーパーコリンズの教育部門を買収した。このなかにはスコット・フォアーズマンScott Foresmanという高度な教育出版社も含まれていた。さらに1998年、ピアソンはアメリカの大手総合出版社サイモン・アンド・シュスターSimon & Schusterの教育部門を傘下に加え、アディソン・ウェスリー・ロングマンと統合してピアソンの中核事業である教育部門ピアソン・エデュケーションを発足させた。サイモン・アンド・シュスターはプレンティス・ホールPrentice Hallという世界有数の教育出版社を有しており、ピアソンはこの出版社を手に入れるのがねらいであった。また、ピアソン・グループは従来の出版事業のみならず、多様なメディアを利用した総合出版を目ざしており、イギリスの総合出版社マクミランのデジタル部門やその他マルチメディア関連会社を傘下に収めている。ピアソン・エデュケーションの2000年の売上高は20億4400万ポンド(グループ全体の売上げの約55%)。
[青木日出夫]