日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フィナンシャル・タイムズ
ふぃなんしゃるたいむず
Financial Times
イギリスの経済専門日刊紙。1888年、シェリダンJames Sheridanとその兄弟によって創刊され、その後競合する経済紙4紙との競争を経て、1945年に残る最後の1紙『フィナンシャル・ニューズ』を買収し、イギリスを代表する経済紙の地歩を固めた。トレードマークでもあるピンク色の新聞紙は創刊間もない1893年から使われている。1957年には、大手メディア企業ピアソンの傘下に入り、ペンギン・ブックス部門、教育部門とともにグループの一角を構成するようになった。国内にとどまらず、世界のビジネス・金融ニュースを報道するほか、政府の経済政策についての論説・意見は大きな影響力をもつ。部数こそ多くないが、その権威と伝統においてアメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル』と並んで世界の双璧(そうへき)をなす。海外展開も活発で、1979年にヨーロッパ大陸に進出、1985年に国際版をアメリカで刊行し、1997年からは本格的にアメリカ版を創刊した。印刷拠点は、アメリカ国内に8か所、イギリスに3か所、それ以外の国々に13か所を有する。ウェブ版は1995年からスタートした。本紙部数は2000年時の43万部から2011年には38万部へと減少している。
[橋本 直]