日本大百科全書(ニッポニカ) 「アニゴザントス」の意味・わかりやすい解説
アニゴザントス
あにござんとす
[学] Anigozanthos L.
ヒガンバナ科(APG分類:ハエモドルム科)アニゴザントス属の宿根草。オーストラリア西部の原産種で、10種ほどの原種が知られる。つぼみの形をカンガルーの足に見立てて、現地ではカンガルーポーの名がある。若苗期は根、茎ともにアヤメによく似ている。代表種のヒューミリスは矮性(わいせい)で約30センチメートル、黄色花をつける。マングレシィは高性で約1メートル、茎は赤で花は緑色である。プルケリムスは高性で約1.5メートル、黄色花をつける。4月ころ種を播(ま)き、本葉4枚くらいのときに15センチメートル間隔で定植すると、翌春に開花する。大株になると数本が次々と花をつけ、花壇、鉢植え、切り花によい。日当りがよく、砂など通気のよい深めの土によく育つ。品種により耐寒性に差があり、関東でも東京近郊では越冬に苦労するが、三浦半島近辺では海岸南面でよく育つ。灌水(かんすい)は冬季は少なめにする。繁殖は実生(みしょう)のほか株分けでもよい。
[川畑寅三郎 2019年6月18日]