改訂新版 世界大百科事典 「アフリカアシネズミ」の意味・わかりやすい解説
アフリカアシネズミ
cane rat
Thryonomys swinderianus
別名アフリカタケネズミ,ヨシネズミ。ネズミの名があるがネズミ亜目ではなく,ヤマアラシ亜目のヌートリアに近縁と推定される齧歯目(げつしもく)アシネズミ科の哺乳類。サハラ以南のアフリカに広く分布。体長40~61cm,尾長20~25cm,体重5~7kg,ときに9kgに達する。体毛は剛毛状,体上面は暗褐~黄褐色,下面は灰~白色,吻(ふん)端が平らで耳介が短く,前・後脚とも大きな指は3本,乳頭は3対で体側に位置する。アシの茂った水辺,丈の高いイネ科の草やぶに1頭ですみ,穴を掘らず昼は茂みの中で休み,おもに夜活動する。よく泳ぎ潜水も巧み。雄は平らな吻端を突き合わせて押し合う。9~10月に2~4子を草でつくった巣に生む。寿命約3年。アシが主食であるが,サトウキビ,トウモロコシなどの茎を根もとからかみ切って食べるほか,ラッカセイ,サツマイモ,キャッサバなども食べ荒らし,大害を及ぼす。天敵はニシキヘビなど。肉は美味。なおアシネズミ科は1属2種から成る。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報