日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブダッラー」の意味・わかりやすい解説
アブダッラー
あぶだっらー
Abdullah Ibn Hussein
(1882―1951)
ヨルダンの初代国王。メッカの太守ハーシム家のシェリーフ・フセインSharīf Husseinの次男として生まれた。1912年メッカからオスマン・トルコ帝国議会の議員に選出されたが、1916年帝国に対するアラブの反乱に参加した。翌1917年父ヒジャーズ王フセインの外相、政治顧問となる。1921年イギリスによりトランスヨルダンの皇太子に任命された。1946年ヨルダン王国の独立により初代国王となる。彼はハーシム家の勢力拡大を図り、シリア、レバノン、パレスチナを併合する大シリアと、さらにイラクをも含めた連合(「肥沃(ひよく)な三日月地帯」計画)を樹立する構想を発表したが、レバノン、シリア、サウジアラビア、エジプトなどの反対で実現しなかった。1950年ヨルダン川西岸のパレスチナ地区を統合し構想実現の第一歩かと思われたが、反対にパレスチナ人の怒りを買い、1951年7月20日エルサレムのモスクで暗殺された。
[木村喜博]