日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファハド」の意味・わかりやすい解説
ファハド
ふぁはど
Fahd bn. ‘Abd al-‘Azīz al-Sa‘ūd
(1921―2005)
サウジアラビアの第5代国王(在位1982~2005)。リヤドに生まれ、王室教育を受けたのちアメリカに留学する。1949~1953年のジウフ地方の知事を皮切りに政府の役職につく。1953年初代文相に就任、この間近代的な教育制度の導入に努めた。第3代国王ファイサルの信望が厚く、1962~1975年に内相として国内治安をつかさどった。1968年第二副首相となる。1975年3月国王ファイサルの暗殺により第4代国王ハリドが誕生すると、新国王のもとで皇太子に指名され、第一副首相を兼任した。親米的な近代化推進論者であった。1982年6月国王ハリドの逝去に伴い、第5代国王に即位した。その後外部からの脅威、とくにイラン革命(1979)とイラン・イラク戦争(1980~1988)を契機とするイランの敵意に直面し、アメリカ依存をますます強めてきた。一方、1986年にはメッカとメディナの二大聖地(モスク)の管理者を自称し、イスラムへの敬虔(けいけん)さを強調した。1995年に脳卒中で倒れた後は国政の実務を皇太子のアブドラ(第6代国王)に任せていた。
[木村喜博]