日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリアケシラウオ」の意味・わかりやすい解説
アリアケシラウオ
ありあけしらうお / 有明白魚
Ariake icefish
[学] Salanx ariakensis
硬骨魚綱サケ目シラウオ科に属する魚。九州の有明海、朝鮮半島から渤海(ぼっかい)、黄海、台湾沿岸を経て、ベトナム北部沿岸までに分布する。体は透明で、ほとんど鱗(うろこ)がない。頭が極めて縦扁(じゅうへん)し、両顎(あご)が前に突出する。脂(あぶら)びれがあり、背びれと臀(しり)びれはほぼ相対して位置する。上顎が下顎よりも前に突き出すこと、胸鰭条(きじょう)数が10本以下であること、体が大きくなることなどの特徴で、ほかの3種の日本産シラウオ類と容易に区別できる。全長約13センチメートル。比較的大きな河川が流入する、低塩分で遠浅の濁ったところを好む。10~11月に川の感潮域に遡上(そじょう)して産卵する。資源量が減少し、わずかしか漁獲されない。活魚を二杯酢で食べるほか、てんぷらや卵とじにされる。環境省のレッドリスト(2013)では、ごく近い将来野生絶滅の危険性がきわめて高い、絶滅危惧ⅠA類に指定されている。
[落合 明・尼岡邦夫]